2010年(平成22年)9月1日号

No.478

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安全地帯(295)

信濃 太郎

上海万博で開かれた「「孫文と梅屋庄吉展」
 

今、日本と中国の若者たちは何をすればよいのか。日本の若者は菅直人首相がするように過去の出来事を謝罪ばかりしていてはだめだ。中国の若者は自国の政治家達が軍事増強に励み、覇権主義を推進するようなことをしていてはいけない。


 中国の革命家、孫文を生涯にわたって面倒を見た日本人実業家、梅屋庄吉の交流を紹介する「孫文と梅屋庄吉展」が上海万博日本館で8月24日開幕した(8月29日まで)。中国の若者たちはこのような日本人が存在したのに驚いたに違いない。二人が出会ったのは明治28年1月、梅屋が香港で開いていた写真館であった。国を憂うる孫文に共感した梅屋が「君は兵をあげたまえ、われは財を挙げて支援する」と盟約を交わす。孫文29歳、梅屋27歳であった。115年も前の出来事というな。若者は何でもできる。若さと情熱である。今でも若者は目標を持てば大きな仕事を為せる。
さらに言えば、孫文が宋慶齢と結婚式を挙げた場所は梅屋の自宅・東京・新宿百人町である。そこまで面倒を見たのである。自国の教科書で日本人の悪いところばかりを刷り込まれている中国の若者には信じられない事実かもしれない。この展覧会の意義はここにある。

 この展覧会が実現を見たのは2009年12月に出版された「革命をプロデュースした日本人」(講談社)が縁で、著者小坂文乃さんが梅屋のひ孫にあたるからである。この本の出版を進めたのは福田康男元首相であった。福田さんが首相当時、来日した胡錦涛国家主席の歓迎晩さん会を文乃さんの父小坂哲朗さんが経営する日比谷松本楼で開き、その際、孫文と梅屋の友情を示すささやかな資料が展示された。その展示が今回の日本館での展覧会に発展した。展覧会は9月以降、北京、武漢、南京で開催される。