2010年(平成22年)9月1日号

No.478

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山と私

(66) 国分 リン

― 4度目の挑戦「鳥海山」と「蔵王のお釜の淵を歩く ―

 7月24日 山形・酒田駅8時着。昨年も一緒のMさんと同行をお願いしていたスポニチ登山学校2期生の西川さんへ連絡した。西川さんは父親を亡くされ、母親を助けるため3年前から横手の実家へ戻られた。縁があり同行をお願いしたら快く引き受けて、3時起きで車を運転して迎えに出てくれた。湯の台登山口も始めてとのことで迷いながらも9時45分到着。昨秋より1時間遅い出発ながら夏なので大丈夫と出発。同じ夜行バスでも会社が違うと到着時間も違うのをミスし不安だったのだ。
 天候は曇り、滝の小屋は改装され大きくなっていた。いよいよ登り霧の中周囲はお花畑が続き秋の時とは違い目を楽しませてくれる。マルバタケブキの黄色とハクサンシャジンの薄紫の群落が素晴しい。10時45分河原宿に到着眼の前に大雪渓が広がる。
早い昼食を取り、雪渓を登る。秋はどろどろの道で上部は大きな石の上を苦労して登ったが、雪は登りやすかった。秋の最終地点薊坂登り口12時50分着、この調子なら頂上(2236m)まで行けるかなの期待で登る。また雪渓が出て綱を張ってあるところを横断し、黄色の矢印を目指し登るが、Mさんは調子が悪そうだ。また雪渓を登るところへ出て慎重に登り、夢中で上を目指して喘ぎ喘ぎ登り14時2100m地点、天候が良ければ外輪山の伏拝岳と新山ドームが眼の前に姿を現すのに、霧の中であった。下山してきた男性3人のグループにもうどのぐらいかを質問したら2時間弱は掛かるの声にMさんはもう危ないから下山したいとの声で今回も登頂を断念した。今回も霧が深く頂や眺望はゼロで、歓迎されなかった。鳥海山独特の天候は難しいがまだ課題を残した山になった。ただ私達にイヌワシのつがいを傍で見せてくれたプレゼントがあったし、翌日は朝から大雨でツアーの登山客が中止になったことで、鳥海山登山の難しさを知った。

 25日 西川さんにお願いして「真室川駅」まで送ってもらう。始めての駅で目当ての乗車時間までは1時間余あり、地元の産直市場もあり、湯沢出身のMさんは野菜をたくさん買い送る。西川さんに深く感謝し別れた。駅で「真室川音頭」を口ずさんでいたら、隣に座っていた地元で歯医者の年輩の方が話しかけてこられ、「真室川音頭の替歌」を教えてくださった。昔、真室川に遊郭がありその女衆が歌った哀調のある歌詞であった。軍需工場があり、B29に爆撃された話など教えられ新庄までいろいろな話を聞かされ、楽しいひとときでした。山形までその方は新幹線、私達は普通電車でした。のんびり普通電車の旅で山形へ、実は冬スキーで訪れ、ペンション「デァ・ヴェルテ」の主人がお釜の淵を案内してくれる約束で今回は夏の蔵王温泉へお邪魔した。
冬の賑わいと違い、ひっそりとした温泉街、始めての公衆浴場「神の湯」は、熱いが大きく風情のある浴槽できれいに管理され、とても気持ちがよかった。冬は絶対ここへ入りにこよう。石段を登ると、温泉神社が祭られ、様々なブルーの紫陽花が見事であった。ゆっくりと涼しい時間を過ごせるのもこの場所ならではと思う。
 26日 朝からよいお天気で散歩に出た。涼しく澄んだ空気に満足。聞くと夏の間は早朝テニスを毎朝4時に起きて夫婦で楽しみ、冬は毎日スキーを楽しんでおり、平日なら無料で教えますとのことです。
9時に車で出発、頂上駐車場へ10時着、上の防護柵にはたくさんの観光客が居た。端のロープを潜りガレ場を用心して下り、ふと見るとタカネチドリがたくさん咲き揃っていた。またどんどん下ると、歩いているのは私達だけの貸しきり状態で上から「ヤッホー」の声もかかり、気分がよい。30分程でお釜の水に触れた。そんなに冷たくない。お湯も流れ込んでいるらしい。地元の人が泳いでみたらしいが、何か神聖なお釜を汚さないほうがと思った。お釜一周なので防護柵の反対方向へ目指して登るとちゃんとした道があり、「コマクサ見つけた」の声に興奮して探すと、合った。少し終りかけながら一生懸命咲いていた。小さな一葉もあり、これからどんどん増えてねと応援した。ガレ場を登ると一番高い広い場所に着き、地層の階段がよく見え、高さが味わえる私達だけの場所で昼食を取る気分は最高だ。上から湖尻を見ると団体さんが歩いていた。でも一周はしないで戻るようだ。私達は記念撮影を済ませて、また登山口へと歩いたら、コマクサの群落を見つけた。あまり人が立ち入らないので大きな株がたくさんあり、人に教えたくない気持ちになったが、ここへ記した矛盾を感じた。
元のルートへ戻り「熊野岳」を登り、冬の地蔵岳周辺を眺め、山深い「蔵王連峰」の大きさを実感して今回の山行を終えた。
「来年こそ「鳥海山」絶対に歓迎されて登ります。」と大きな声で宣言したい。