2007年(平成19年)12月1日号

No.379

銀座一丁目新聞

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安全地帯(198)

信濃 太郎

無償の愛と ビールの泡に つぶやいて 河彦

 毎日新聞社会部で一緒に仕事をした高尾義彦さん(現毎日新聞監査役)から手紙とともに冊子が送られてきた。手紙には「門前仲町の久寿乃葉という店の十五周年記念誌を作りましたのでご笑覧下さい。銀座俳句道場への投句の裏側に言及しお名前を出させていただいたのでお詫びに代えてお送りします」とあった。「久寿乃葉物語」とあるこの十五周年記念誌(81ページ)がよくできていて面白く拝読した。
これを読んで私が道場主をしている「銀座俳句道場」へ投稿する高尾さんの俳句に意外と恋の句が多い理由がわかった。執筆者は29人、写真が27枚、カットが3枚もある。各人の文章を総合すると店の雰囲気はすこぶる家庭的である。「女性が元気な店」「癒しのサロン」という表現もされる。「カラオケがない」というのもいい。「葛の葉物語」の伝説を思い出させる店名の女将,河俣くに子さんの存在が大きいようだ。薩摩生まれの美人,真っ白い割烹着を着た和服の女性,「天璋院篤姫」という人もいる。
お客の中には毎日新聞の「男の気持ち」(2005年5月1日)へ「母の手紙」を紹介した方もいるのに驚いた。「久寿乃葉」が毎日新聞の紙価を高からしめるのに役立ったのだから感謝しなければならない。常連と見えて高尾さんの名前がよく出てくる。そのように世話好きな人柄とも思えないが河俣くに子さんのしからしめるところであろうか。
銀座俳句道場の選者・寺井谷子先生はつとに高尾義彦の人柄を見抜いている。「朝顔の 宅配便を 待つ女」に「河彦さんは粋で、ドラマのある句がお好きですね。この朝顔、入谷から届くのでしょうか」と寺井先生は評するのを見てもわかる。俳句にはすべてその人の人柄がさらけ出される。高尾さんは「粋で、ドラマある人生を送っている」幸せ者である。
高尾さんのゴルフの腕前を初めて知った。グロス101、ハンディ20・4、ネット80・6。平成16年12月18日の記録である。私は絶好調の時でスコアはネットで90から95の間であった。今や腕前は衰えて110を記録するていたらくである。
「久寿乃葉」が店開きしたのが平成4年10月22日とある。そのころ越中島のスポニチにいた私は毎日のように門前仲町をうろうろしていたが「久寿乃葉」の話は誰からも聞かなかった。ガラの悪いスポーツ記者と波長が合わなかったのであろうか、残念である。機会があれば、酒は一滴も飲めない私だが、河俣さんの手作りの料理で徳島由来の「スダチご飯」でもいただこうかな。
   「年忘れ スダチご飯や 有り難き」 悠々

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