2007年(平成19年)12月1日号

No.379

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山と私

(38)
国分 リン

−黒部下の廊下(欅平から黒四ダムの間の峡谷)が歩けた!

 スポニチ写真塾の仲間U氏から黒部下の廊下へ行く話を聞き、Mさんと申込をした。ネットで情報を調べれば調べるほどに、そこは険しく長丁場である。それに残雪のため、9月の半ばから阿曽原小屋がしまる11月初めの1ヶ月半程。
U氏が小屋の申込をしたら満員で、テント泊になり登山計画書と装備表がメールで来て準備をした。前日夜行バスで富山まで、リーダーU氏の大きく重いザックに驚く。U氏の友達のI氏とN夫婦の6人パーティで出発。
 10月6日晴れ 一番の電車で富山から宇奈月へ早朝なのでトロッコ電車も直ぐに乗れ欅平へ9時半到着。準備と各々ストレッチをすませ9時55分出発、第3鉄塔までの急騰をゆっくり40分ほど登ると水平歩道の入口になり休憩。大正から昭和にかけ発電所開発のためにつくられた「日電歩道」が登山道で、毎年、関西電力がこの道を整備しているという。「右側が岩、左は絶壁です。つまずきよそ見をして足を踏み外したら命がないです。誰も助けられません。景色を見る時、写真を撮る時は足場の良いところで留ってからですよ」とリーダーになんども注意された。13時に雪崩を避けるためにU字に掘った志合谷トンネル150mの長さへ到着。ヘッドランプを着け中へ真っ暗闇で足元は流水している。右に左に岩へぶつかり水の深みに入らないよう大騒ぎで対岸へ、少し歩くと広い場所に出てここで昼食。ここから少し歩くと「大太鼓」と呼ばれる大絶壁にでた。右の岩にワイヤーが命綱用に張られている。まだ延々水平歩道が続く。折尾谷出合の滝に14時50分に出た。滑滝でなかなか風情がある。少しずつ上り始め木のはしごを何度も登り、最後の急な梯子にU氏の足が攣り25Kgのザックの重さ(テントから食糧全部)が大変なのを改めて知り、今まで重いと言わないU氏の凄さを改めて思うし、感謝したい。男性I氏がザックを交換して担いでくれた。少し歩くと木々の合間から阿曽原のテント場が見えた。びっくり涸沢並みの混雑振り。見えてからつづら折の急坂を下り沢に掛かる丸太の橋を2本渡るとやっとテント場に17時到着。テント場の混雑振りから張る場所を決め張り終わったころには暗くなり始め、U氏の準備してくれたキムチ鍋はモツや豚肉を湯がいて持参してくれ野菜もたっぷりの本格鍋、それにハラスの美味しかったこと。忘れられない贅沢なディナーに深く感謝。
 10月7日晴れ 4時半に起きテントの撤収をし、アルファー米を昨夜の鍋に入れ贅沢おじやの朝食は美味しい。昨夜温泉にいかなかったのでMさんを連れ
覗きに行くが男性が入浴中で引き返す。時間制で男女を分けているようだ。小屋を6時半に出発。いよいよ黒四ダムへの核心部へ出発。7時10分に権現峠から硫黄と高熱の高熱隧道を抜け仙人谷ダムへブルーの濃いダム湖の脇を歩いていると、対岸に裏剣を目指すグループが梯子を登る様子が見えた。これからお互い長い距離がんばろうと心に誓う。8時に東谷吊橋に着き、この吊橋は一人ずつ渡ることの注意書きがあり、長く急流の上は揺れ、絶対高所恐怖症は渡れないななど考え皆無事渡りほっとする。S字峡を越え、9時15分に半月峡へルートはいよいよ川から離れ高くなり道も細くなってきた。短い吊橋を渡ると十字峡に10時半到着。U氏の案内で十字がわかる場所へ、右に棒小屋沢、左に剣沢が岩と水のコントラストにナナカマドの赤い身がとても印象的だ。いよいよ核心部の白竜峡へ、道が細く岩にはりついたり滝のように流れ落ちる場所を通ったり、岸壁に2本の丸太をワイヤーで束ねただけの橋が何度も出てきた。下は奈落の谷底、山側の岩に命綱のようなワイヤーを放せず、途中の擦れ違いは絶対山側の岩へ体をつけた。更に進み、14時15分別山谷出合に到着そこから16時20分内蔵之助谷へ降りるのに苦労し、残雪の水は身に沁みた。この調子では遅くなるのでN夫妻に先に行き宿へ連絡をと、リーダーがお願いした。川沿いの道をひたすら歩き橋を渡り最後の登りのところで暗くなりヘッドランプを着けゆっくり進む。オーイと声がしてN夫婦が空身で迎えに来て、U氏のザックを担いでくれた。これがカメラードと嬉しい。U氏も皆のため重い荷物を悪い足を庇いながら本当にありがたい。感謝です。とうとう黒四ダムサイトに
到着したのは18時45分。トロリーバスの最終が出ると係りが車に乗り宿舎へ
消えた。黒四ダムの誰もいない漆黒の闇に星空が光る。私たち6人の世界、かんば谷吊橋を渡り暗い道をヘッドランプの灯り一つふと前方に蛍光灯の明かりが見え今夜の宿終点の「ロッジくろよん」19時25分到着。約13時間の行程でした。やった。乾杯
 U氏のザックを部屋に担いでみたらこの10歩が限界でした。この量は食糧が減った分で、本当にありがたく、今回無事に歩けたのもU氏とカメラードのお陰と感謝したい。

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