2004年(平成16年)6月20日号

No.255

銀座一丁目新聞

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競馬徒然草(18)

―海外遠征― 

  日本馬の海外遠征が話題になっている。まず、3歳馬では、今年の桜花賞馬ダンスインザムード(美浦・藤沢和)が、7月3日に米ハリウッドパーク競馬場で行なわれるアメリカン・オークス(GT芝2000メートル)に挑戦する。アメリカから招待を受けての参加で、武豊が騎乗するという。日本のオークスでは武豊が騎乗し、1番人気で4着に敗れている。その武豊が、もしアメリカのオークスに勝てば、日本での口惜しさを晴らすことになる。それだけでなく、日本馬の歴史に残る輝かしい記録になる。
 ヨーロッパ遠征もある。シーキングザダイヤ(栗東・森)が、7月8日に英ニューマーケット競馬場で行なわれるジュライC(GT、芝直線1200メートル)に挑戦。その後フランスに渡り、ドーヴイル競馬場で行なわれるモーリス・ド・ギース賞(GT、芝直線1300メートル)にも出走する。このレースは同馬の母シーキングザパールが98年に制している。もし勝てば、母子による同一海外GT初制覇の快挙となる。同馬は、NHKマイルCでは2番人気で7着に敗れている。本来の調子を出せなかったのだが、海外での短距離で真価を発揮できるか、注目される。このレースも武豊が騎乗する。武豊はアメリカ、イギリス、フランスと転戦するわけだが、以前の日本の騎手の海外遠征を考えると、感慨深いものがある。
 騎手の海外遠征は増えてきているが、馬もともに遠征となると、まだ多くはない。騎手だけの遠征でいえば、古くは招待されての遠征例がある。59年(昭和34)、野平祐二騎手(故人)がオーストラリアからの招待を受け、世界の騎手と各地で国際レースをしているが、2戦目で優勝。それもレーコードタイムだったので、大きな話題になった。騎乗したのは現地の馬だが、日本の騎手が海外で評価された最初である。あれから45年になる。
 馬のほうの活躍では、ハクチカラが海外遠征のパイオニア。ダービー、天皇賞、有馬記念を勝ったほどの馬だったが、アメリカ遠征では苦戦の連続。1年目は1つも勝てず、2年目にやっと勝った。「ワシントン・バースデーH」(芝2400メートル)。勝てずにいたのでハンデが軽く、先行できたのが幸いした。2着馬とはクビ差だから、きわどい勝負だった。これが日本馬による海外初勝利。やはり59年(昭和34)のことだ。当時の日本馬のレベルはその程度だった。今から思えば、隔世の感がある。今年の海外遠征は、どんな結果をもたらしてくれるだろうか。

( 新倉 弘人)

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