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友と友をつなぐアカシアの花 並木 徹 かって中国・大連市に大連第二中学校があった。その中学校は敗戦で消滅した。さる日(10月17日日曜日)浜松のグランドホテルで大連二中の創立75周年を祝って記念全国大会が開かれた。 この学校は大正 13年4月に創立され、昭和20年4月入学の24回生が最後である。この日、全国から集まった2回生から24回生まで同窓生は250余名にのぼった。実質20年の歴史で終わったのに、戦後なお75周年を祝うところに、中国東北部で青春をすごした男たちの熱い思い入れがある。最後の期で早や 67歳である。確実に減っていく同窓会である。戦前、外交官、学者、マスコミ人など多くの人材を輩出し、戦後は、抑留、引揚げ、生活苦など幾多の辛酸をなめて生き抜いてきた同窓生たちは時の過ぎるのを忘れて昔話に花を咲かせた。2回生(昭和2年卒)、杉浦 戎さんは大会プログラムに次の感想を寄せている。 「私たち1、2回生(3組)は大連中学から分離して 75年、丸山校長の方針で質実剛健の負けじ魂を植えつけられながら、大正、昭和、平成の三時代を過ごしてきたと思います。2回生は88人卒業ですが、現存20人足らずになりました」大連はアカシアの街。「アカシアの花は逝く春を惜しみ、近づく楽しい夏をつなぐ花である」(木村遼次著「大連物語」より)という。私たちにとって、アカシアは去りし青春を偲ばせ、大連を身近かに感じさせ、友と友をつなぐ花である。 このページについてのお問い合わせは次の宛先までお願いします。www@hb-arts.co.jp |