1999年(平成11年)4月1日

No.70

銀座一丁目新聞

ホーム
茶説
映画紹介
個人美術館の旅
街角ウォッチング
ニューヨーク便り
ゴン太の日記帳
海上の森
告知板
バックナンバー

ゴン太の日記帳 (34)

目黒 ゴン太

 「ひとりひとりの個性を伸ばす」等というキャッチコピーを銘打っている進学塾のポスターを発見した。皆が行くから高校へ、大学へと言ってくる横並び感覚バリバリの生徒達に、受験という大きな壁を前に設けて、一体どうやって一人一人を見て、個性を伸ばすのか、大変に疑問に思うが、そこまで「個性」という言葉を使いたがる程、今の人々に必要と考えられているという証拠にも思える。

 しかし、今、求められている「個性」とは何なのか、それは、ただ単純に他人と違うことをしたり、かんがえたりしようとするだけでなれるのか、自分は、それはまだ「個性」と呼べるものではないように思う。ただ、世間の常識を覆し、皆と違う所をアピールしてもなにも意味はない。

 自分の考える個性の有る人と言うと、自らにルールを持っている人である。それは、世の中の常識に全く左右されることのないものである。故に、人が思いもつかないことを考えついたり、全くオリジナルな発想を展開できるのだと思う。そして、今の世が欲している物の一つに、この個人が持つ自由な発想が挙げられると思う。

 そして、こうした個性を育てる基盤を作る年頃の学校教育の中において、モラルを教え込み、人としての規律を与え、その上に立って自由な人格形成を目指してゆくべきなのであり、決して、自分の知る限りの学習塾の内容では、個性を伸ばすどころか、作り出すきっかけさえ手に入れることはできないと思うのだ。

 

 

このページについてのお問い合わせは次の宛先までお願いします。
www@hb-arts.co.jp