花ある風景(510)
並木 徹
生きがい 美しい人生 冬紅葉
湘南に住む同期生の忘年会に出席した(12月6日)。場所はJR大船駅近くの中華料理店。参加者は地元11名。区域外6名。会費1500円、飲み放題であった。幹事役が霜田昭治君と安田新一君。渡された資料は当日の出席者名簿、13人の欠席者からの消息,会務報告、雑誌「偕行」の花だよりに掲載された代表幹事清水廉君の「59会の追憶と希望の道へ」の抜粋、「首都圏便り」に載った首都圏代表幹事西村博君の「59期の歩み」の原稿のコピー、11月9日の日経新聞の「百考不如一行」の記事の切り抜き、同期生奥出達都摩君の本「アラビヤよもやま話」の紹介,善行雑学大学の講演会の案内、霜田君が撮影した「富士山」と「東京駅」の写真と至れりつくせりであった。
今年で全国組織の「59会」も解散して今後は地域での集まりが主となってゆく。この日の集まりは他の地区でも参考になる。案内状の発送は31名、未回答は5名であったという。年齢88歳前後、出不精になるうえ足腰も弱くなる。何故集まるのか…奥出君の本に新藤恒さんの言葉として紹介されていた「人間、人と会わないとは発想が止まる」もその理由の一であろう。私は「雑談の内に新聞のネタがある」と思っている。席上、私は55期の山口弥六区隊長の話をした。平成20年5月28日座間で最後の本科14中隊会を開いた際、山口区隊長は次のような挨拶をした。「私は人と人のつながりを大切にしております。絆を大切にするのが私の哲学です。満身創痍です。胸は肺気腫です。携帯用の酸素吸入器を持参しております。足腰は前立腺がんを患い、袋をぶら下げております。駅にはエスカレーターもエレベーターもありますのでそれを利用しております。外出には不自由をしません。最後まで生きる喜びを以て楽しんでください」。決戦下、死を覚悟して振武台、相武台,修武台で激しい訓練に励んだ同期生である。「人生の余白」を有意義に美しく過ごすため年に何回か集まるのはむしろ当然であろう。次々に近況を語る。ドクター河部康男君が12月と1月に入浴中の急死事故が多いという資料を配り、みんなの注意を喚起する。近くの席にいた園部忠君が箸入れの紙に「生甲斐は 東京五輪 冬紅葉」の句を書いて渡してくれた。7年後の東京五輪までは何とか生きようということである。終わって5,6人で近くのコーヒー店で雑談をする。ここで意外なことを知る.指宿清秀君の母の兄が「膝つき一本』の徳三宝だというのだ。著名な柔道家である。彼は参議院事務総長まで務めたが徳三宝の血筋だというので社会党の人たちも親しくしてくれ、何かにつれことがうまく運んだという。小池俊夫君の好きな囲碁にまつわる人と人の縁も面白かった。いつの間にかあたりが暗くなったので散会した。いい日であった。
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