2013年(平成25年)12月1日号

No.593

銀座一丁目新聞

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安全地帯(413)

信濃 太郎


中国との付き合いは厄介だ・・・


 少年期を中国のハルピンと大連で過ごしただけに中国との付き合いは仲良くしてきたいと熱望している。現在、毎日新聞社会部のアルバイトに早稲田大学に留学中の大連の女子学生が来ている。このほど開かれた社会部旧友会でその女性と会い、激励した。

 国同士の間柄はこのところしっくりしていない。中国はつい最近も尖閣列島上空を含めて防空識別圏を設定した。すでに尖閣列島の領有権を主張し、しばしば中国の調査船が日本の領海を侵犯する有様。目に余る。11月26日の展望台に次のように書いた。
「これまで日本、韓国、台湾と仲良く民間航空が飛び交ってきたところに無理やり力で横槍を入れてきた。強大な軍事力を背景にした暴力である。

 すぐに不測の事態が起きるとは思えないが中国に何か異変が起きていると勘ぐるほかない。中国の国内事情がよほど深刻な危機状態にあるのではないか。貧富の格差、汚職、紛争などが次第に共産党政権の基盤を揺るがしているように思える。今回の中国の暴挙は共産党政権崩壊の一つの兆候と見る」

 もう少し説明すると、経済成長に大きく影響する生産年齢人口はすでに2010年ピークアウトに達している(非農業部門へ移転可能な農村生産人口3000万人)。特殊出生率も全国で1・18、日本の1・39より深刻。成長率も7,8パーセントといわれるが実質は5パーセントぐらいである。明らかに経済状態は下降気味である。ソ連共産党政権の崩壊は70年である。すると中国共産と政権(成立1949年)の寿命もあと6年。2019年には寿命が尽きることになる。つまり中国共産党政権の金属疲労度はかなり深刻だということだ。

 中国が国民の目を外へ向けたがるのも無理はない。格好の標的が日本である。その日本は情報が垂れ流しだし謀略にはころりとひっかかる組みやすい相手である。2004年5月6日、上海の日本総領事館で電信官が縊死した事件を見てもわかる。日本の外交官が中国公安当局の罠にはめられ情報が流出した。この時、日本は断固抗議し謝罪を求めるべきであった。この事件をめぐる中国との情報戦は日本の完敗であった。元外交官佐藤優さんは「現在、日中間では目に見えない『情報戦争』『謀略戦争』が行われていることを認識する必要がある」といっている。外交では相手が国権や人権を犯した場合にはいうべきことをはっきり言わなければだめだ。中国は厄介な隣国だ。戦前の歴史は「不戦」を教える。今しばらく耐え難きを耐え,忍び難きを忍ばねなるまい。