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愛知県瀬戸市の、猿投山麓にある海上の森は、名古屋市近郊にある最後の広大な里山です。ここは東海地方にしか生息していないシデコブシをはじめとした貴重な生物が見られ、野鳥の種類も多い豊かな自然の宝庫です。現在、21世紀万国博覧会の開催予定地とされ、跡地利用としての都市化計画とともに、この場所の自然環境に影響を与えようとしている問題が起きています。ではどんな所なのか、トピックスなど踏まえてお届けします。(図は図上をクリックすると大きくすることができます) 自然通信(14) (11月に入って森に出掛けることが出来ましたので、その情報をお届けします。) まずは11月23日の祭日の日。もう森はそろそろまばゆい黄葉に入っているのかな・・・と期待してみましたがまだ染め始め、といったところ。それでもこのシーズンは冬鳥の到来が早くもあるようで、屋戸橋から入った所で、ベニマシコの雌が出迎えてくれました。行く道の上空には、タカの仲間のノスリが悠々と空を舞っています。年中森にいるメジロ達や小さいキツツキの仲間コゲラもいつになく活発に見えました。この日は里を経由して大正池までを訪ねたのみのコースでした。このところ、池の水は抜かれています。(堰堤で塞き止めた池なのです。) 29日の日曜日。用事も兼ねて瀬戸に来た際、主人と一緒に再び森に会いに来ましたら、丁度良い黄葉の時期となっていました。ウリカエデやタカノツメの鮮やかな黄色の葉がひときわ美しくなりました。わくわくしながら四つ沢より篠田池に向います。ここでも池の周囲を黄葉した雑木林が取り囲み、心和む風景が広がります。池では大勢の訪れた人々をよそ目にカワセミが動き回り、カイツブリが控えめに動いていました。この日こそはと、ゆっくりと時間を少しかけて歩くことにします。 秋も終盤になり、花は終わりの時期となりました。僅かに薄紫のノコンギクや黄色のアキノキリンソウが咲き残っています。林道沿いで1株のリンドウが花を咲かせようとしているのを私たちは見つけました。以前7年前、私が初めてこの森を知った日の、丁度この時期の、しかも同じ辺りでやはりリンドウを見た記憶が蘇ってきました。(場所はナイショです。)心無い人に見付からないと良いと思いながらその場を後にしました。 驚いたことにヤブツバキがもう開花しているのを見ました。いつも速くても1月からなのに・・・。まだ今年の異常な気候を垣間見ることが出来るとは。一体、来年はどんな年になるのでしょう? 道端で見つけたカナヘビ(トカゲの仲間)を2人でつかまえてみました。お腹の辺りの皮膚を通してトカゲの鼓動が伝わってきます。変温動物の為、寒くなってきた今では動きもどことなく鈍く、ぎこちなくなっています。後で逃がしてあげました。 観察会の方のお話ですと、今年のドングリはまずまずの豊作のよう。絵にはありませんが、そのままでも食べられるツブラジイの実が特に多いそうです。ここででぶっとしたドングリを見つけたら、それはアベマキのドングリ。(クヌギに似ています。)どちらも2年かけてやっと一人前のドングリになります。コナラやアラカシは1年で立派なドングリになるのに、面白いですね。ムラサキシキブや、ソヨゴの実は少ないようです。ムラサキシキブの実も食べるメジロにとっては、ちょっとがっかりかもしれません。彼らの大好物の実は、春に独特の臭いを付けた花を枝いっぱいにつけ、秋にびっしり実をつけるヒサカキの実。この日も道で見ている私に目もくれず、ひっきりなしで食べているようでした。 森を楽しみに多くの人が来るようになりましたが、彼らの営みを知り、思いやりをもって接することが出来るようになる人が一人でも多くなることを願っています。その時は世の中も少し変わってくると思うのですが。 トピックス 無謀なボーリング調査に住民監査請求の意見陳述が行なわれました。 11月26日と12月2日に道路建設予定地、及び住宅建設予定地で行なわれる予定の計211本にも登る、地質調査の為のボーリングを差し止める為に、市民団体が愛知県に対し、住民監査請求の意見陳述が行なわれました。 この問題点は、もし、予定どおり調査が行なわれるとしたら、今まで繰り返し行なわれてきた地質調査同様、搬入路のための樹木伐採が大量に行なわれ、地下水の噴出を起こすなど自然環境に影響を及ぼす事にあります。また、海上の森に計画されている万博跡地の新住宅や、道路に伴うアセスメント(環境影響調査)はまだ結論が出されていないまま、手続き中です。にも関わらず、必要と思われる以上の調査数は、自然破壊を伴い、あたかも工事着工の準備の様子を示しており、非常に大きな問題です。 26日の意見陳述の場では、県の監査委員側が「非公開に」としたため、紛糾となり、意見陳述が途中で終わった為、改めて公開を条件に2日に残りの陳述の場を設けたものです。 この問題に関しては、(財)日本自然保護協会が行政に対し、意見書を出しています。リンク先のHPで見ることが出来ます。同じくここよりリンクしている「瀬戸市の住人のページ」でもその様子が掲載されています。 この森にも、悲しい姿が見られるようになってきたようです。12月6日に、調査現場の現地視察が行なわれる予定です。 問い合わせ:0561-84-1323 加藤 徳太郎さんまで ホームページの案内
今まで森で確認された野鳥たちのリストや森の風景などの写真が沢山掲載されています。 メニューの「署名」の中に、ここでも取り上げている、海上の森の世界遺産の里山登録要望署名について、全内容が紹介されています。 今回問題となっているボーリング調査については、「愛知県のずさんな外部委託調査の実態にせまる」のメニューに出ています。「シデコブシ切断事件」については、「万博関連」で写真での詳細報告をご覧ください。(「表紙」からでもアクセスできます。) リンク先から、直接推進側のページ「万博のこえ」にアクセスも出来ます。有効かどうかは解りませんが、皆さんの声をここに届けてみるのも良いかもしれません。リアルタイムな情報が出ていますので、このページは是非お見逃しなく。 加藤 理香子さん発行による、「こえ〜from海上の森」を是非どうぞ。 一人のNPOとしてこの問題に関わっている加藤 理香子さんが海上の森で起こっている問題の「事実」について、初めての人にも分かりやすいように説明した発行用紙です。中にアンケート用紙が入っています。海上の森を歩いた人や、この問題に関心を寄せている、もしくは心配している皆さんの「こえ」を環境庁や博覧会協会etc.に送ろうと言うものです。 新たな署名活動が始まりました。ご協力お願いします! 日本の伝統的な農業によって維持されてきた里山は、四季折々の変化に富んだ美しい景観を描き、原生自然にはない農耕文化と結びついた独特の生態系が、自然と一体となった文化と心を育み、同時に生物の多様性も保持してきました。 私達は、日本文化の原風景を保つこの里山を、わずか六ヶ月の博覧会や必要性の無いニュータウン構想で潰すのでなく、未来の子供たちや森に住む様々な生き物のため、活用しながら保存する新しい概念の“世界遺産の里山”として登録する事を要望します。 (提出先は環境庁長官宛) 愛知万博から「海上の森」を守るネットワーク
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