2011年(平成23年)10月20日号

No.518

銀座一丁目新聞

上へ
茶説
追悼録
花ある風景
競馬徒然草
安全地帯
いこいの広場
ファッションプラザ
山と私
銀座展望台(BLOG)
GINZA点描
銀座俳句道場
広告ニュース
バックナンバー

 

追悼録(433)

大橋武夫さんと兵法経営

 

 手元にある大橋武夫著「マキャベリ兵法」(マネジメント社・昭和55年10月再版)をなんとなく開く。「まえがき」にこうある。

『我々は人に愛されたいと思う。ところがマキャベリは「愛されるよりも恐れられよ」という。マキャベリの本は悪徳の書といわれる。

1、 君主の美徳が国を滅ぼすこともある。
2、 武器なき人格者は滅びる
3、 狐をよくまねる者ほど成功する
4、 君主は人を捨てることを知れ
5、 悪いことは一度に大きく全部やってしまえ

などショッキングなことが書いてある』

 この本を買ったのは私が毎日新聞の西部本社代表のころであった。西部本社はテトリーとして山口県、九州一円、沖縄までに及ぶ。社員は800人を数えた。組合交渉もあり部下統率のために読んだものと思われる。しかしこの本は物事を判断するためには役に立ったと思う。さらに後で出された『戦いの原則』(プレジデント社・昭和61年11月発行)がより多く参考になった。

 著者の大橋 武夫さんは私より20期も先輩の陸士39期生。昭和62年7月、死去されている。享年81歳であった。戦前は第53軍参謀・東部軍参謀等を務める。戦後は兵法経営論者として著名であった。教えられることが多かった。経営とは組織の効果的運用である。そのために立てた目標に向けて人、お金、物を使う。それが結実したのはスポニチの社長になってからであった。アイスランドの女性大統領を招いてアイスランドフェアを開き、日本アイスランド協会を設立、大統領のスポニチ本社訪問など色々なイベントを実施した。もちろん、スポニチ生え抜きの役員たちが私の足りないところを補ってくれて事業はほぼ成功した。ともかく大橋武夫さんから多くを学んだ。感謝のほかない。


(柳 路夫)