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安全地帯(290)
−信濃 太郎−
健康麻雀の目指すところ
知人の日本健康麻雀協会の会長、田辺恵三さんからこのほど制定された協会の「憲章」が送られてきた。この健康麻雀協会は昭和63年に創立された。当時は「賭けない・飲まない・吸わない」をキャッチフレーズにして麻雀の健全性を訴え活動してきた。最近は高齢社会を向かえ、各地で高齢者たちによる健康麻雀会が盛んに開催されている。
事件記者であった私は昭和20年代に麻雀も花札も競馬も囲碁もすべて警視庁記者クラブで覚えた。当時、麻雀は何がしのお金を賭け、食事をしながら、タバコを吸いながら、これから起きるであろう事件取材に備えた。競馬は警視庁のある課長から教わった。競馬の競争タイムを克明に調べて記録し、タイムの早い馬を買えばあたるというのである。病みつきになった。警視庁記者クラブは本を読むような知的雰囲気はなかった。だが人生の修練場であった。今はそのようなことはないであろう。
協会の「憲章」にいう。「健康マージャンは高齢社会となったわが国にとって必要不可欠存在となり、知的で健康的なコミュニケーション・ツールとして再認識されている。私たちが提供する健康マージャンの開催会場には多くの高齢者が訪れ(健康)を維持し(生きる)喜びを感じ,(ふれあい)の輪を広げる。そうした方々から大きな支持を得られていることを私たちは誇りに思う。そして(健康マージャンに触れることが私の生きがい)といってくれる人の喜びを自らの喜びとして明日の糧とする。日本健康麻雀協会はこうした私たちによって構成された団体です」
確かにマージャンは知的なコミュニケーションであるが、むしろ相手の性格がよくわかるツールである。昭和38年8月、大阪本社の社会部デスクになった。単身赴任であった。夜、暇なときは部員を集めてマージャンをした。部員の性格は歴然、慎重居士、優柔不断なもの、決断のよいもの一目瞭然であった。時には部員の家に泊まった。朝起きるとちゃんとハンカチや靴下を洗濯していてくれる奥さん。玄関では脱ぎ捨てた靴が整頓されたある家庭。奥さんのしっかりしている記者は不思議と仕事が出来た。事件が起きると、本人の性格と奥さんを判断して現場に記者を派遣した。すべてうまくいった。マージャンのおかげである。
野球賭博が注目されている。暴力団の資金源となる野球賭博が悪いのであって食事代程度の賭博は法的に許されていると聞く。バクチにはそれなりの効用がある。「健康麻雀」が大きく普及してきた現在,「健康麻雀」を大いに推進すべきである。田辺恵三会長の活躍を期待してやまない。 |
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