2010年(平成22年)6月20日号

No.471

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茶説

参院選挙は民主党が圧勝する
 

牧念人 悠々

 早くも参議院選挙が始まった。7月11日の投票日の結果は民主党の圧勝となろうと私は予想する。私の望むところではない。むしろ胸が悪くなる。民主党は表紙を変えただけで支持率が上がり66%に達した(毎日新聞世論調査)。また、当落のカギを握る無党派層が昔の35%に戻ってしまった。流れが民主党へ動きだした。不思議な国民である。実は民主党の中身は前のままだ。菅首相がこれまでと違って市民運動家出身という経歴が新鮮に映ったからであろうか。

 普天間基地移設問題は8月に工法や具体的な設置場所が決まる。移設できるかどうかはわからない。沖縄の反対が以前よりも強いからである。辺野古移設問題は伸展のいかんでは菅直人首相の鼎の軽重を問われることとなる。日米同盟、アジアの集団安全保障の観点からも辺野古移設を実現すべきである。少し違うのは今回の民主党のマニフエストを見る限りばらまき政策は影をひそめ消費税問題が浮上してきたことだ。自由民主党は消費税10パーセント値上げをうたっている。税収を上回る赤字国債を発行し毎年20兆円を越す国債の利子を払っていては国の財政が破たんする。本年度末で国と地方の債務は860兆円に達する。諸外国では消費税が高いと言われる。イギリスでは標準税率は17.5パーセントである。しかし「生活必需品」は「ゼロ税率」である。アメリカも同様である。無税の州もある。ほとんどの商品に消費税をかける日本もこの点は見習う必要があろう。

 一見新鮮に見えるが、中国大使の民間人起用は「政府主導」といいながら愚策である。米国、中国と重要なポストに経験のない素人を据えるのは国を危なくする。東條英機内閣(昭和16年10月成立)で外相を務めた東郷茂徳さんがソ連大使時代、あまりにも三国同盟に反対するというので東京に戻されることになった(昭和15年10月)。その離任の宴席に異例にもモロトフ外相が出席してスピーチをした。二人は困難を極めてノモンハン事変の停戦協定をまとめ上げた当事者であった。「私は東郷氏ほど誠実かつ頑強に自国の利益を主張する外交官を知らない。また東郷氏ほど偏見や悪感情なしに我々を理解してくれた外交官を知らない。彼が大使の職にあったおかげで日ソ両国の関係は大きな破蒸を見ずに済んだ。彼は我々にとっても最も大切な人物であった。今彼を帰国させるのは日本政府にとってけしてりえきにならない。まことに残念な決定である」(阿部牧郎著「危機の外相 東郷茂徳」新潮社)東郷茂徳さんは外交のコツを知った信念の人で国を考えた人であった。

 私は新中国大使になんらの恨みもない。民主党内閣には「国家観」がないのである。この国をどこへ導いてゆくのか皆目わからない。それも民主党政権が続くというのである。我慢して待つほかない。当分魚釣りでもしておこう。