2007年(平成19年)9月10日号

No.371

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茶説

人間はうっかりミスを犯す

牧念人 悠々

 日常起きる事件・事故はそのまま現代の日本の世相、職場の規律、庶民の生活態度を如実に表現する。怖いほどである。これなどはその典型的な出来事である。バスの運転手(52)が終点でバスの車内に眠っていた小学生を置き去りにしたまま車庫入れをして帰宅する珍事が起きた(8月24日午後9時頃、川崎市多摩区)。帰宅が遅いのに心配した両親が携帯電話で子供に連絡して初めてバスの車庫に閉じこめられているのが判り、無事に助け出された。
 何よりも悪いのは、運転手が終点で義務づけられている車内点検を怠ったこと。日常の仕事は惰性でやるようになり勝ちで、車内点検がおろそかになる。もう一つ大事なことはどんな乗客が乗ったか常に頭に入れておくことだ。たとえば、妊婦がおれば乗車中「万一のことが起きた時」の対策を考える。「危機管理能力」である。漫然と運転していてはいざというときに慌てる。夜、小学生が乗れば、疲れて寝込むのではないかと想像してもいいはず。事実この小学生は学習塾帰りで疲れて後部座席で寝込んでしまった。運転手の当然の義務のほか、いかにお客にサービスするかを考える必要がある。今の時代は「考えること」が求められている。
 次は他の乗客は眠っている小学生を起こさなかったのかという疑問である。無関心と言うほかない。自分のことが精一杯で他人のことはかまっておられないと言うのであろうか。「一日一善」を心がける私は良く地下鉄の終点で眠っている乗客を起こす。
「点検」「確認」は基本的動作である。点検を怠ったばかりに保育士が車の中に幼児を置き去りにして熱中症で死亡させた事件も起きている。死につながる「うっかりミス」では許されない。私も昨今はうっかりミスを起こす。郵便局で釣り銭を受け取らずに出てきたり、相手の名前を間違えて手紙を出したリミスばかりしている。人に偉そうなことは言えない。「点検」「確認」と自らに言い聞かせている。基本動作を守ること。当たり前のことができない。人間はや張り間違いを起こしやすい。

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