競馬徒然草(102)
―関東3歳馬に新星―
1月14日の京成杯(GV、中山)は、クラシックを目指す馬たちのレースとして注目された。勝ったのは関東の1勝馬サンツェッペリン(松岡正海騎手)。2勝馬がいる中での勝利。それも逃げの手に出て、そのまま逃げ切ってしまったのだから、驚かされた。この馬が逃げの手に出たのは初めてだから、大方のファンも「まさか・・・」と思った。呆気にとられた、というところだ。まして「逃げ切る」とは見ていなかった。他馬の騎手たちも、「そのうちにバテる」と見ていたようだ。ところが、なんと逃げ切ってしまった。こんな意外性があるのだから、競馬は分からない。そこが競馬の面白さかも知れない。
勝った松岡正海騎手(22)は、昨年12月16日のレース前に他馬に足を蹴られて骨折し、リハビリしていた。それが2日前に復帰したばかり。復帰初勝利が重賞勝ち。同馬を管理する斉藤誠調教師(35)にとっても、開業7カ月での重賞初制覇。しかもこの2人は、05年に亡くなった前田調教師(享63)の愛弟子同士というから、嬉しいことが重なったことになる。競馬には、こんなドラマもあるのだ。
このサンツェッペリンを北海道日高の育成場で見つけたの も松岡騎手で、そのアドバイスがきっかけで同馬が斉藤厩舎 に入厩することになったという。こんなエピソードもおもしろい。競馬にはたんなる偶然とはいえない、因縁のようなものもあると思われる。これまた競馬のおもしろいところだ。 松岡騎手は、レース後の談話でこう語っている。「馬っぷりがよくて、これからもっと強くなりそうな馬。クラシックでも期待していいと思います」と。
とかく西高東低といわれる傾向だが、どこまで頑張れるだろうか。今回の京成杯の勝利が、西高東低の傾向が続く中での珍事といわれないようにして欲しいものだ。(新倉弘人) (
新倉 弘人) |