2006年(平成18年)7月20日号

No.330

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競馬徒然草(86)

―馬の値段は期待料コミ― 

  1頭の馬、それも生まれて間もない当歳(0歳)の牝馬が、なんと6億円。このところ、そんな話題で持ちきりだ。7月11日北海道・苫小牧のノーザンホースパークで開催された「セレクトセール2006」の当歳(0歳)馬セールで、血統名「トゥザヴィクトリーの2006」(牝)が、国内セリ史上最高額となる6億円で落札されたのだ。過去の競走馬セールの高額落札馬と比較してみると、ぞの金額がいかに大きいかがよく分かる。これまでの高額馬1位は、「エアグルーヴの2004」4億9000万円(父ダンスインザダーク、牡馬)だった。この金額を大きく1億1000万円も超えたのだ。一般に牝馬のほうが低く、牝馬の最高額は2億3000万円(アドマイヤグルーヴ)だった。
 この牝馬の国内セリ史上最高価格を大幅に更新するとともに、世界の当歳馬セリでも前代未聞の高額馬誕生となった。このような高額馬の誕生には、サンデーサイレンス亡き後の有望種牡馬への期待の程もうかがわれるようだ。その意味では、今回の「トゥザヴィクトリーの2006」の父がキングカメカメハであるのは興味深い。圧倒的な強さでダービー馬(2004年)となったことは、記憶に新しい。そして今、種牡馬としてのキングカメカメハが注目され、今後はその産駒の活躍が脚光を浴びることになるのだろうか。
 今回の「トゥザヴィクトリーの2006」は牝馬だけに、母トゥザヴィクトリー(エリザベス女王杯)のように活躍し、さらに引退後も優れた繁殖牝馬となることが期待される。馬の金額には、そんな期待料が含まれている。期待料コミである。

( 新倉 弘人)

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