2005年(平成17年)9月1日号

No.298

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競馬徒然草(57)

―ユメロマンと妹― 

  北海道静内農業高等学校で生産されたユメロマン(牡3歳、父ジェネラス、美浦・宗像厩舎)が、今年2月13日の東京6レース・3歳新馬戦(芝1800メートル)を快勝した。高校生産のサラブレッドがJRAで優勝したのは史上初のことである。
 同校は1978年の開校当時からアングロアラブの生産を教科に取り入れ、99年にサラブレッドの生産へ転換した。国内で唯一、軽種馬を生産している公立学校として知られ、現在は生産学科(旧・畜産科)の馬コースで、生徒たちが生産から育成まで手掛けている。
 ユメロマンは2002年4月に誕生。翌年8月、血統名「桜浪漫」の名で日高軽種馬農協主催のサマーセールに上場され、262万5000円で三石町の田中晴美氏が購買した。馬名のユメロマンは、「馬産地日高に夢を」と生徒たちからの公募で命名された。同馬の母サクラトキメキ(牝11歳、父アンバーシャダイ)は、町内の新和牧場から譲り受けた繁殖牝馬。同校での初仔となった2000年生まれのサクラローレル産駒は、船橋競馬場に入厩するもレース直前に故障し引退した。ユメロマンはそれに続く2頭目の生産馬である。
 ところで、このユメロマンに妹(半妹)がいる。やはり同校の生徒が生産した。兄のユメロマンは父がジェネラスだったが、こちらは父アグネスデジタル(母は同じサクラトキメキ)。7月18日、日高軽種馬農協主催の「セレクションセール」が静内の北海道市場で行なわれたとき上場され、300万円で落札された。血統名は「桜可憐」。
 セリに立ち合った生徒は、「これまで育ててきたことを思い出したら、いろんな感情が溢れてきた。ユメロマンに続いて、一生懸命頑張ってほしいですね」と。また、「300万円の値段は全体から見たら安いかもしれないけど、僕らにとっては何億円と同じくらいの価値がある」と喜んでいた。
 今後は、南関東・川崎の池田孝厩舎でデビュー予定。
生徒たちの夢が叶えられるのを期待したい。

( 新倉 弘人)

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