道路公団民営化は市場原理を働かせ、無駄な道路を作らない事を目的とする。この目的を忘れてはなるまい。12月22日決定した政府・与党の道路関係4公団の民営化案を巡って推進委員会のメンバーが辞任、「民営化の理念が大きく後退した」とのマスコミの批判も強い。だが、考えて欲しい。
道路建設については以前から外国に比べてコストが3割も高い。政治路線が多すぎると不満が噴出していた。「不要な道路を建設しない」と伝えられるとすぐに道路族が目の色を変えるのに国民は理解できない。道路建設には何か裏があるのではないかと疑わざるを得ない。これは3割のコスト高と関係があるのではないか。建設費の3割のお金がどこかに消えてゆくのではないだろうか。だからこそ、整備区間の残り約2千キロを作るのに20兆円以上掛かるはずだったのを13・5兆円に削ることが出来たのであろう。3割強の削減である。ひらたく言えば、これまで建設単価を水増しした分どこかへ消えていたという事である。道路公団民営化の本当の狙いは政治家の道路への介入を極力少なくするところにあるのではないか。その意味では改革案は一歩前進といえる。無駄な道路を作らないというだけでなく必要な道路でも建設単価をこれまでより3割削減して作るということにしなければいけない。
40兆円にのぼる債務も高速道路の年間料金収入2兆円を原資にして45年で返却する計画だというから推進員会の答申にほぼかなっている。道路だけでなくお役人さんは税金の使い方がきわめてルーズである。問題は国の高速道路整備計画による全線建設(9342キロ)と新規道路建設である。2005年民営化後は近藤剛総裁が言うように「経済合理性から判断してゆく」ほかあるまい。「無駄な新規道路建設」をする社長は不適格の烙印を押されるだけである。もちろん例外もある。たとえば不採算性であっても国防上必要とあれば作らざるをえない。これは国交相の諮問機関である「社会資本整備審議会」に諮ればよいであろう。
政治はすべて妥協である。まして国会議員330人が反対している改革である。どこかで妥協せざるをえない。政治家に甘い汁を吸われないように国民は監視してゆくほかあるまい。新会社の役員、社員も、志のある政治家は道路建設に関して不正があれば内部告発をして欲しい。 |