2002年(平成14年)2月10日号

No.170

銀座一丁目新聞

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花ある風景(84)

 並木 徹

 目や耳や体の不自由な子供たちの学校がある。東京のそうした学校(盲・ろう・養護学校)の高等部の生徒たちが総合文化祭を行った。10年前からつづいている。幾つもの学校が参加しているから、単に『文化祭』としないで、『総合文化祭』となづけているのであろう。サブ・タイトルに『舞台芸術・演劇祭』とあるように、劇やダンス、ミュージカルと多彩で、その意味でも『総合文化祭』にふさわしい。
 今年は東京都盲・ろう・養護学校文化連盟の創立10周年記念にあたり、特に盛り上がりを見せた。東京・池袋の東京芸術劇場のホールは父兄や一般客で埋め尽くされた(1月13日)。
 馴れない広い舞台、大勢のお客の熱気、役者も緊張する。セリフや演技はぎこちなくても、稽古を重ねてきた生徒たちの真剣さが胸を打つ。舞台の袖には、登場人物のセリフを観客に伝える手話の先生がいる。その横のスクリーンには、セリフが大きく映しだされる。観客のなかにも目や耳の不自由な、さまざまな人々がいるのだ。そうした配慮が舞台と観客に一体感を生み出す。
 ひとつの舞台が終わるたびに繰り広げられるカーテンコール。出演者に花束が幾つも手渡される。花束がひとつしかない出演者には別の父兄がかけよって、もうひとつ手渡す。拍手は鳴り止まない。
 最後に舞台紹介があった。壇上に並んだのは普通高校の生徒20人。蔭でさまざなボランティア活動をしてきた。一人一人が紹介された。みんなりりしい顔をしている。観客は拍手で答えた。

(長野四郎)

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