2002年(平成14年)2月1日号

No.169

銀座一丁目新聞

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茶説

大局を見て判断せよ

牧念人 悠々

 恒例の日本記者クラブの「2002年予想アンケート」にこんな問題が出た。
@12月31日現在わが国の首相は誰か
B12月31日現在わが国の外相は田中真紀子氏で  (ある ない)

 筆者は@については、小泉純一郎氏Bについては田中真紀子氏であるとした。早くもはずれてしまった。新聞紙上いろいろと物議をかもしている田中外相であった。冷静に見てみると、非は田中さんにない。つまらない、どうでもよいようなことがリークされている。誰かがことあるごとに意識的に漏らしているとしか思えなかった。外務省改革を目指す田中さんとこれまでの既得権を守ろうとする外務省の対立であった。それが挫折した。
 今回の外務省とNGOのトラブルにしても、田中外相に全く非がないのに、悪者扱いかにされた。外務省が一部NGOをアフガニスタン復興支援NGO会議から締め出したのは、ある政治家からの示唆による。しかもそのNGO代表が新聞に「お上は信用できない」という発言をしたからだという。全く大人気ない。
 この問題は予算委員会でもとりあげられてもめた。結果的には喧嘩両成敗になった。田中外相辞任は政治的決着である。国民はだれがウソをついているかわかっている。この決着には国民の不満が残る。必ずあとに尾を引くであろう。
 アフガニスタンの復興にはNGOの支援が欠かせない。政府機関だけではどうにもならない。45億ドルのお金をだせばよいというものではない。地雷除去、教育、医療などの支援にNGOの存在はぜひとも必要である。田中さんはこのことがよく判っていた。外務省はNGO代表の発言の真意も確かめず、政治家の言いなりになったのは、保身のためにしてもまことになさけない。どちらを向いて仕事をしているのかと言いたくなる。国際協力の基本姿勢が『助けることは、助けられることである』という認識さへあれば、外務省はもっと違った対応が出来たはずである。
 小泉内閣の基盤にひびが入った。前途はさらにきびしくなった。

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