2001年(平成13年)12月1日号

No.163

銀座一丁目新聞

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花ある風景(77)

 並木 徹

 早稲田のラグビーが強くなった。その理由は新監督の清宮克幸さん(34)が明確な目標を与えたからである。そのキーワードは継続、高速、正確さ、オリジナリティー、激しさの五つ。激しさは試合で出せというのである。
 これは経営と何らかわらない。経営の要諦のひとつは「社員に目標を与え、やる気をおこさせ、社員がひとつになって目標を達成する」にある。その目標を達成するために具体策を立てねばならない。新聞で言えば、まず販売目標である。新聞経営の中核は販売だからである。ここに資金を重点的に配分せざるを得ない。毎日新聞の販売店主が「いくら新聞協会賞をとっても売れませんよ」という気持ちはよくわかる。増紙が力だとすれば、紙面は命である。紙面をよくしなければ、本来の新聞の使命である「読者の知る権利」に答えられない。今の新聞は時代から少しずれている。建前論ばかりで、本音でニュースを伝えていない。TVに引きずられてぐにもつかない報道をしている。例えば、小泉首相の人気は世間と自民党内とでは全く正反対である。何故それを伝えないのか。新聞はひとつの特種をとっても継続して良質の報道をしなければ、読者の信用はえられない。読者が無意識に抱いている疑問を一つ一つ解くような報道を心掛けねばならない。しかも、正確さだけでなく、激しく動く時代のスピードを一歩先んずるものがほしい。
 新聞の企画はタイムリーで新鮮で、暴露的なものが歓迎される。今こそ、政治、外務省などを俎上に上げて徹底的に解明すると面白い。
 早稲田の選手たちは、できるだけボールをつなぎ、ロングパスも多用し、グランドをいっぱい使い、パスも正確でスピードもあった。清宮流の攻撃の戦法も幾つか用意しており、戦況にしたがって使い分けている。
 そこには昨年までの早稲田ラグビーの姿はなかった。指揮官が変ると、選手たちも変るという見本でもあった。
 激しさとは、勝つ意志であり、気力であり、体当たり、タックルである。慶応の対抗戦20連勝でストップさせたのはけして付録ではない。現代の記者にほしいのは、この激しさである。

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