花ある風景(76)
並木 徹
前野徹さんの「第四の国難 出版記念会」が開かれた(11月9日・赤坂プリンスホテル)。発起人は東京都知事を囲む創業経営者の会 石原慎太郎、21世紀・研究会(イトーヨーカ堂グループ) 鈴木敏文であった。出席者800人、着席のパーテーであった。有意義で考えさせられる会であった。
この本は前野さんが日本民族は危急存亡の危機に直面しているという思いから今年の5月に出版した。今の日本の現状を冷静に分析すればするほど、暗澹たる気持ちになるとして、今年の2月に起きた野呂田芳成衆院予算委員長の舌禍事件を紹介している。前野さんはきわめて常識的な見解だと判断したが、大新聞はこぞって舌禍事件のレッテルを張った。
野呂田議員は地元・秋田で戦後の教育改革を批判した際、先の戦争を「大東亜戦争」(筆者もこう呼ぶ)と呼称した上で、「米国が石油などを封鎖したから、日本はやむを得ず南方で資源確保にのりだしていった。いわばそれは米国側の策はまってしまったのが本当だろうと、多くの歴史家が言っている。(註「真珠湾の真実」の著者ロバート・B・スティネットは50年間眠っていた超極秘文書「戦争挑発八項目覚書」を発見、日本が挑発された事実を明らかにしている)・・・大東亞戦争で植民主義が終わり日本のおかげで独立できたという国の首脳もたくさん居るが、それは別として、「戦で負けてしまったのは、政策の誤りであって、日本の文化、歴史、伝統が悪いと反省してしまったのは、本当に大きな誤りだ」とのべたところ、新聞各社が一斉に反発した。前野さんは言う。この発言のどこが真実でどこが間違っているのか、はっきりと指摘した新聞社はどこもなかった。『歴史の常識を語ることも許さないいまの日本は異常である』と訴える。
『私が書きたかった本だ』と激賞した石原東京都知事は「何が大事か、物事に優先順位をつけることが出来ない国は滅びる。私も前野さんと同じ思いである」と挨拶した。
受け付けで「結縁・尊縁・随縁」と書いた名札をいただいた。説明によると、昭和31年、中曽根元総理をはじめ勉強会の同志達と誓いあった言葉です。縁を結び、結んだ縁を尊び、縁に随うという意味ですとあった。そういえば、前野さんは縁を大事にされる。また縁を上手につくられる。それをさらにのばされる方である。中曽根康弘元総理も挨拶の中でそのことを言及され、『前野さんの目線の先に常に時代の先端がある』と語った。
前野さんの結縁、尊縁、随縁に感謝のほかない。なお出席者の中には、前野さんの本を読み感激のあまり涙を流したという長島亜希子さん(長島茂雄さん夫人)の姿もあった。 |