不況は知恵を生む。その知恵は強い意志と思考と努力によって実現する。消費が低迷している中、百円ショップが大繁盛している。益々増えていく勢いである。東京電力の情報誌「グラフtepco」の2月号によると、百円ショップの良さは商品の種類の豊富さ、格安感、宝探し的興味、新商品開発による新鮮さなどだそうである。
不況の中にあって、努力を怠らず、消費者のニーズを掘り起こし、つなぎとめ、更にお客を呼び込む営業努力は見習うべきだと思う。
支持率の低迷を続ける森 喜朗首相は百円ショップの店長より劣る。「今何をなすべきか」 「今何をしなければならないか」がわかっていないからである。流れに身をませているだけである。そうとしか国民の目には映らない。悲しいことである。
森内閣の支持率が14%になった(毎日新聞2月5日)KSD 事件、官房機密費横領疑惑が大きく影響している。この件に関して森首相は施政方針演説で謝罪しなかった。自民党の参議院議員が逮捕され、任命した大臣が辞職しても、ひとごとのようであった。たまりかねて与党である公明党が代表質問できびしく追求する有様であった。KSD 事件の深刻さに気が付いていないのではないかという疑問すら抱く。
今の政局は1989年のリクルート政局に類似している。この時、竹下 登内閣の支持率は9%であった(3月28日)リクルート事件は前年の6月に起きた。情報産業「リクルート」が値上がりするのは間違いない「リクルートコスモス」の非公開株を政治家、官僚、マスコミ人へばらまいた。これらの株を譲り受けた政治家たちが公開後の急騰で売却、暴利を得た。この事件で元閣僚、元代議士、事務次官らが収賄容疑で起訴された。株を譲渡されていた宮沢 喜一蔵相が辞任(1988年12月)、長谷川 崚法相もリクルート社から献金を受けていたというのでこれまた辞任(同)竹下内閣は大きくゆさぶられた。この最中に開かれた税制国会で証人喚問や資料要求の扱いなどで再三審議が中断し混迷を深めた。竹下首相が事件の責任を取って退陣を表明したのは予算成立した1989年4月25日であった。この年の7月23日に行われた参議院議員選挙(50名改選)では自由民主15人、社会20人、公明6人、民社2人、共産4人その他3人で自民党は惨敗した。
KSD
事件の究明はこれかである。どのような展開をみせるか予断を許さない。リクルート事件は政、財、官、マスコミなど著名人たちの株による錬金術をはしなくも暴露したものだが、KSD 事件は自民党と癒着し、福祉事業団の運営に便宜を図ってもらい、政治資金をばら撒いていた様相を示している。両事件とも国民に「政治不信」を招いたことは間違いない。森政権は竹下内閣と同じ運命をたどるのであろうか。
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