2001年(平成13年)2月10日号

No.134

銀座一丁目新聞

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お耳を拝借(3)

-ちょっといわせて−

芹澤 かずこ

 子供たちがまだ小学校の頃、誕生会やクリスマス会などに招いたり、招かれたりしていましたが、プレゼントの交換などがだんだん華美になる上、呼ばれる子と呼ばれない子がいて不公平であると、保護者会で問題になったことがあります。

 誕生会ばかりでなく、バレンタインのチョコレートも、たくさん貰える子と、全く貰えない子がいるので、不公平をなくすためにと、担任の先生が一枚づつ配ったクラスもあったようでした。

 けれども、人気のある、なしというのは、どこの国でも、どんな世の中にも厳然としてあるもので、人気のある子というのは、なにも頭が良かったり、器量が良い子とは限りません。

 家でも3人の子供が同じ小学校に通っている時期があったので、PTAの仕事も3人分引受けて、学校にもたびたび顔を出していました。授業参観のような“作られた授業”ではない、生の子供たちの生活の場面にも、よく出くわしました。

 給食の時間に、お当番の子が何人かで、食器やパンやおかずの入った大きなナベを運んでいます。女の子に軽いものを持たせて、重いものを引受けている男の子もいれば、女の子に「ズルイわよ、パンだけしか持たないで・・・」と非難を受けても、知らん顔の男の子もいます。掃除の時も、真面目にやっている子と、帚(ほうき)を振り回して、始めから終りまで、追いかけっこをしている子もいるのです。

 女の子たちは、そうゆう男の子たちの“普段の姿”をちゃんと見ていて、お誕生日に呼ぶ子や、バレンタインのチョコレートを上げる子を、確かな目で選択しているわけです。選ばれる子にも、選ばれない子にも、それなりの理由があるわけで、外された子は普段の自分の態度を忘れて只、やっかむのです。

 子供はやっかむだけなのですが、ここで変な正義感を振りかざすのが、親だったり、先生です。子供たちには子供たちのルールがあるわけですから、大人が変に介入せず、放っておけばよいと思うですが・・・。

 家では長男は“軽いパン“組でしたから、チョコレートの収穫はありませんでした。次男はチビでしたが女の子に人気があり、担任の男の先生とチョコレートの数を競っていました。

 次男の持ち帰った、たくさんの戦利品を、長男はチラチラと見ていましたが、勿論「くれ」とは言えず、私も口出しはしせんでした。ましてや、同じ数だけ買い与えるなんて“バカなこと”をするわけがありません。これだけは、いくら親だってどうしてやることも出来ない、厳然たる現実なのですから。

 その代わり、娘と私は仕方なく“義理チョコ”を用意したのです。



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