2000年(平成12年)12月20日号

No.129

銀座一丁目新聞

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花ある風景(44)

 並木 徹

 こスポニチ登山学校はこの12月で開校以来、五年目を迎え、入校者は300人をこえた。12日には3期生28人、4期生12人、5期生23人の修業式を行なった。来年は6期生を募集し、5期生はアドバンス・コース(2年目)に進む。4期生は最終学年となる。
 5期生は一年目には基礎学科10講座、山行11回をこなした。基礎学科は、登山の心構え、山の危険と救急処置、登山の食糧、登山の装備、地形の読み方、登山のトレーニング、登山のワザ、山の気象、山の写真のとり方、ロープの結び方などであった。
 山行は2月27日、榛名山山塊、水沢山(1194m・27名)、3月12日、荒船山山塊、経塚山(1423m・18名)4月9日、裏妙義山塊、丁須岩(1057m・26名)、5月14日、赤城山山塊、黒檜山(1828m・24名)、6月3日―4日、子持山(1296m・14名)、武尊山(2158m・14名)、7月15日―16日、八ケ岳山塊、赤岳(2899m・24名)、8月19日―20日、甲斐駒ケ岳(2966m・19名)、9月23日−24日、会津駒ケ岳(2132m・15名)、10月22日、巻機山(1962m・16名)・ヌクビ沢、11月18日、−19日、安達太良山(1700m・12名)12月10日、秩父・ニ子山(1166m)。
 毎年一年生には修業作文を義務づけている。5期生の作文を見ると、講師たちの教えがでてくる。
 「自分を守るには面倒くさいと思った事を実行すること」
 山だけでなくふだんの生活に生きる教訓である。自分で面倒くさいと思う事を人は実行しない。生来怠け者だからである。健康には良いと思っていても、朝の柔軟体操、冷水摩擦、素振りなどまずやらない。体が次第にナマってくる。五年もたてば、実行しているものとそうでないものの差がはっきりする。それが登山で余計に出てくるというわけである。「山で楽するには下で苦労しなくてはいけない」。同じことである。
 熱心な人がいる。神奈川県の箱根町に住む41歳の男性は夜7時からの講義のために小田原にある会社を半休する。登山の場合、池袋集合が午前6時45分のため、前夜は横浜の親せきに泊めて貰うという有様である。最大の収穫はカメラード(岳友)をえたことだという。「登山は登るまえから始まって降りた後も続いている」このことを実感し、語りながら飲む酒はうまかったそうだ。
 赤岳でころんで額にたんこぶをこしらえた53歳の主婦は「次の山行はけして参加しないとかたく心に決めて下山しているのに、振り返れば、六つの山に登り、いま七つに挑戦しようとしている。山の不思議な魅力もあるだろうが、やはり人間の暖かさのなかにいられる魅力の方が大きいと思った」と感想を書いている。
 「マライ・タバイ・モンバルツア」(あなたが好きです)またどこかの山で会いましょう。

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