2000年(平成12年)7月1日号

No.112

銀座一丁目新聞

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茶説

選挙の神様の真意をくみとれ

牧念人 悠々

 選挙の神様はまことにいきなことをされる。この選挙で一挙に今の政治情勢を変革されるのを望まれなかった。とりあえず、自民党にイエローカードを出された。もちろん、民主、自由、公明、共産、社民、保守にもそれぞれ課題を与えられた。
 自民党が公明、保守をとりこんで、数の力で日の丸、君が代、通信傍受などの法案をつぎつきと成立させたのをみて、少し横暴すぎるが、まあ、いましばらくは形だけは与えよう。というわけで、三党で絶対安定多数をこえる271議席をとらせた。中味をみたら自民党は喜んではおられないであろう。自民38、公明11、保守11それぞれ減で合計60議席減である。投票率が70%に近ければ自民党は惨敗していたはずである。与党三党の枠組みには一応賛意を表したものの、公明党の入った三党の枠組みにはアレルギーがあるのを示した。野中幹事長がクビをかけた229議席を超えること4議席にとどめ、過半数241議席をとらせなかったあたりは絶妙というほかない。
 沖縄サミットが7月21日からはじまる。森首相もわざわざサミット出席の各国首脳とも顔つなぎをした。この選挙でクビにしたのでは、あまりにも可哀相だし、外国に日本の政治の不安定を見せつけても格好が悪いと考えられたのであろう。
ともかく、自民党よ、数を頼み余り強引なことをしてはいけないと戒める議席数ではなかったか。第2次森内閣はこのことを謙虚に受け止めなかったら罰があたる。
 民主党は32も議席を伸ばした。躍進などとお世辞にもいえない。自民党に104議席も水をあけられては威張ってもおれまい。一面、有権者の中には自民党に対抗する政党として成長を望んでいる。一応都市圏の若者を掴んだのだから政権党になるためにもっと足腰を鍛えねばならない。
 民主党とともに伸びるとみられていた共産党が6議席をへらしたのは意外であった。組織的な反共ビラをまかれたというのはそれだけ力を持ってきた証拠である。小選挙区で735万票をとりながら当選者ゼロと言うのもおかしな現象だが、その得票数は公明、自由、社民よりも多い。嘆かずに小選挙区で当選者を出す戦略を考えねばなるまい。また他の野党に「連立を組みたくない」といわれるのはそれだけの理由があることを知るべきだ。
 先細りが心配された自由党は小沢党首の個性が光り、「改革」の姿勢が受けたのではないか。それにしてもまわりに優れた切れ者がほしい。
 社民党は土井党首のかたくなまでの「護憲」と「弱者重視」の主張が有権者の心をとらえた。19議席にうち女性議員10人というのもこれから伸びる芽を十分持っている。
 イエローカードをだされた自民党、課題をだされた各政党、来年の夏の参院選ではこの国の政治の形が変わる。いまから心しておかなければならない。

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