2000年(平成12年)4月10日号

No.104

銀座一丁目新聞

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追悼録(19

 

 4月7日が「愛馬の日」であることを知っている人は少ないであろう。第2次大戦中,各地の戦線で数十万頭の軍馬が戦没している。東京・九段の靖国神社の境内に「軍馬の像」がある。「軍馬慰霊」と書かれた御影石の上に設けられてある(昭和33年4月設立)。

毎年この日にかっての騎兵連隊の勇士たちが戦没軍馬慰霊祭を開く。今年,歌手の水野重子さんが献歌をするというので靖国神社に出かけた。水野さんは「空の神兵」などを作詞した梅木三郎さん(本名黒崎貞次郎,毎日新聞社会部長,事業部長など歴任)の夫人。

この日午前11時からの慰霊祭(第16回)に集まったのは,近衛騎兵連隊,騎兵13,14,15,24各連隊,近衛野砲連隊,野重ニ連隊,紫陽会の人々約100人,各代表ごとに玉ぐし拝礼を行った。

軍馬慰霊奉賛会会長は明治天皇の御製

  人ならば/ほまれのしるし/授けまし

     いくさの庭に/立ちしあらごま

を引用して共に戦ったものゆわぬ戦友たちに「戦没馬をまつるの辞」を述べた。水野さんは夫の作詞した「戦陣訓の歌」「娘馬子歌」とサトーハチロウーの「めんこい子馬」を朗々と献歌した。最後に参列者で「愛馬進軍歌」を合唱した。この歌は硫黄島で玉砕した栗林忠道中将が馬政課長時代の昭和14年,国民から公募して選ばれた作品。「騎兵の歌」といっていいほど騎兵部隊に愛唄された。ほとんどが80歳を超えた人々、別れを惜しみながら来年の再会を期して解散した。この日,靖国神社の桜は満開でかっての勇士たちを迎えたのであった。(柳 路夫)

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