2000年(平成12年)4月10日号

No.104

銀座一丁目新聞

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花ある風景(19)

並木 徹

 

面白いパーテイであった。表彰される人々をふくめて出席者は85人。いずれも着席。そのすばらしい生き方と作品に、みんなが祝杯をあげ,感動した。さらに生きる力を得た。そのパーテイはスポニチ文化芸術大賞贈賞式である。場所は東京プリンスホテル(4月5日)。

グランプリは新藤兼人監督とその仲間たち。4月22日で88歳になる新藤さんは「90歳になっても映画を撮っていたい。まだまだやりたいものは頭の中にいっぱいある」と元気であった。日課は毎日5000歩歩くこと。「書きたいという欲望があるかどうかが健康のバロメーター」という。

同士だった殿山泰司さん(89年74歳で死去)の伝記映画「三文役者」(9月に近代映画協会50周年記念として公開)に出演した竹中直人さんもお祝いにかけつけ場をもりたてた。

優秀賞は寺内タケシとブルージーンズ,「銀座百点」編集部。

寺内さんの表彰について,審査委員の阿久 悠さんは「痛快」と評した。教育の現場からはじかれたGSの王者がすでに1024校で演奏会をひらいているのである。まことに痛快というほかない。門前払いを食らった当初の苦労話しを寺内さんは語る。スタートしてから6年目母校の土浦ニ校を訪れた時,校長は寺内さんを抱きしめて「お前を信用している」と演奏会がはじめて実現したという。

「ギターは弾かなければ音がでない」「熱中すること,夢中になること」と若者たちに青春のメッセージを送りつずける。

「銀座百点」。地元のお店100店が1955年(昭和30年)に創刊して44年。オシャレで品があって、内容のある小冊子はほかにない。向田邦子さん,吉行淳之介さんら著名な作家たちが執筆した。この夜出席した脚本家の内館牧子さんは現在連載中だ。スポニチの記者たちにはこの小冊子を賞の対象にするなどという発想はまずでてこない。これこそ「にくい賞」である。と言ったのは審査委員に山藤章二さん。最後に寺内さんのエレキギターの演奏があった。ベートーベンの「運命」「津軽ジョンガラ節」「青春のメッセージ」を演奏、会場は手拍子でこれに答えた。

スポニチが主催するこの大賞は「本音」「友情」「共感」を特色とし,独断と掘り起こし精神で優れた作品と人に贈るということで平成3年に創設されたものである。今回は審査委員たちのすばらしいセンスによってこの特色に深みが加わった。

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