1998年(平成10年)9月1日(旬刊)

No.50

銀座一丁目新聞

 

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少女っぽさを装うということ

山崎れいみ

 ショッキングピンクに憧れたことがある。車の免許とりたてのときだから18歳、今からン十年昔のことだ。それも、今では滅多に見られなくなった「ルノー」という小型外車を手に入れたとき、車の色をショッキングピンクにしたくてしょうがなかった。

 ところがどっこい、私の母は「ダメッ!そんな派手な色の車で走り回られたらご近所の笑いものになる」とてんから拒絶。しぶしぶあまり派手ではない赤い色にした記憶がある。

 ここでなぜショキングピンクが出たかといえば、そう、蒸し暑い休日の昼下がり、原宿は竹下通りでこの色の「集団」に出会い、ギョッ(この言葉ちょっと古い?)となったからである。

 フリフリのついたブラウス、バルーンのようなふくらんだスカート、バッグも靴も、髪飾りのリボンも、内1人は髪の色も、何から何までぜーんぶショッキングピンクなのだ。さすがにこのグループ、どんなカッコしていても驚かない原宿でも目を引いていた。

 ピンクがセクシーだったのは昔の話、今では「少女っぽさ」の象徴色だそうだが無邪気とは異質、少女を装うための色であり、色がそうなら他のものも少女をきめて、「少女っぽく」なのである。

 そういえば彼女らを近くで見れば、少女ではなく、「女」であった。

 しかし、ここまで徹底した「少女を装う」ことへのこだわり、ついには感動ものとさえ思えるのでありました。

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