1998年(平成10年)8月20日(旬刊)

No.49

銀座一丁目新聞

 

ホーム
茶説
映画紹介
個人美術館の旅
街角ウォッチング
スーパーウォッチング
連載小説
ゴン太の日記帳
海上の森
告知板
バックナンバー

大流行の下着スタイルは涼味通り越して寒いのです

山崎れいみ

 「キャミソール」といっているが、早い話スリップ風ブラウスと説明すれば、たいていの方にはお分かりいただけよう。この夏大流行なので、とにかくどこにいても見られる若い女性のファッションである。正確には「キャミソールタイプ」というべきか。

 初夏のころは「なんとまあ下着じゃないの」と、少々眉しかめて見ていたのだが、慣れとはこわいもので最近ではそう抵抗もなく見過ごしている。

 が、こんな場面を目撃するとやはり少々眉しかめて笑っちゃう。

 ある酷暑の昼下がり、浜松町から乗ったJR山の手線の冷房は確かにやったら効いていた。車両後方の座席に座っていた3人のキャミソール嬢、寒くてたまらないと悲鳴あげ、やおら「おしくらまんじゅう」やりはじめたのである。時間的に満員ではないので迷惑じゃないといえばそれまでだが、私の隣にいた親子連れの外国人は「彼らは何をしているのか」と私に訊ねる。「寒くて温め合っているらしい」と言ったら、子どもは笑いをこらえて言いましたね。「Tシャツかポロシャツ着ればいいのに」。

 で、もう1つは都バスの中。私の側に座っていたキャミソール嬢は上半身鳥肌たって青ざめ、気分悪くなってぐったり。持っていたスカーフを掛けてやったら一息ついていたが、上半身はだかのキャミソールスタイルがしたいのなら、さらに電車かバスに乗る予定があるのなら、羽織るものを持参すべきですな。

 東京の夏の公共の乗り物は冷やしすぎってこともあるけど……。この冷やし過ぎだって省エネ、環境保全にはよくないんだけどね。

このページについてのお問い合わせは次の宛先までお願いします。
www@hb-arts.co.jp