2008年(平成20年)4月10日号

No.392

銀座一丁目新聞

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山と私

(41)
国分 リン

−雪桜咲く「大台ケ原」と雪山「八経ヶ岳」

 キラキラと桜の花が咲いたように山が輝く。大台ケ原へのバスの中から見た光景は、忘れられない強烈さでした。強い大寒波が日本海地方に大雪を降らせ、この奈良の地にも雨を降らせ、気温が下がり樹木の枝を凍らせ、霧氷になったと思われる。それにしても見事である。お昼に今夜の宿の大台荘到着後、荷物を置き、身軽に東大台を歩き、日出ヶ岳(1695m)を目指す。年間降水量が4000oを超える多雨地帯で、気象の変化も大きく、雨量は6月から9月までの夏季に多く、10月から翌2月までは少ないと、ガイドブックに書かれていた。晴れはラッキーである。シャクナゲの群生地から歩き出しシオカラ吊橋まで下り、渡り、また少しずつ登る。紀伊半島の山は始めてなので、興味がある。北斜面の樹木に霧氷の花が咲いていた。その光景は見事だ。シャッターを押す。
大蛇ーへの分岐で休憩、大蛇ーはパノマラビューと冷や汗タラリのスリルが味わえるとMapに書いてあったがちょっと勇気が必要である。止めようと思ったら、Iさんが手を差し出してくれ先端までいけた。明日登る弥山や釈迦ヶ岳
と続く大峰連山と断崖絶壁である。眺望に満足して戻る。東北ではみられないイトザサが敷きつめられた大平原の牛石ヶ原に大石・牛石があり、神武天皇像が遥か都を望む姿が印象的である。トウヒの大木が立枯れし、倒木し、独特の大台ケ原の景色である。正木ヶ原の展望デッキでゆっくり景色の中へ溶け込む。この地方独特の風景は心に残る。木道になり木の階段が続く。周りの景色は珍しく、キョロキョロあちこち眺め渡す。霧氷が咲く木々が少しずつ沈む夕日に美しい。日出ヶ岳(1695m)へ到着。展望台が作られていて案内板もある。東に熊野灘、その向こうに志摩半島、運がいいことに富士山も遠望できた。もう何も言うことなしであった。
 翌日早朝霧氷を撮りに出掛けた仲間ががっかりして戻る。全て消えたと。

 大峰山脈は、北は吉野山から南は熊野の本宮付近に達し、その間に近畿の最高峰、八経ヶ岳を頂点に1200m以上の名のある山だけでも50座を数える長大な山脈で、一帯は吉野熊野国立公園に属している。また、大峰は修験道の根本道場と言われ、古来より行者達のための75ヶ所の霊場があり、俗に「大峰七十五靡」とよばれる。この奥駆道(参詣道)が2004年7月に世界遺産登録された。とガイドブックに書かれていた。私たちは百名山・八経ヶ岳(1914.9m)を目指す。行者還林道の細い道をマイクロバスで入り、トンネルを越えると駐車場があり、数台の車が止まっていた。ここが登山口で準備をして出発。1ピッチで奥駆道出合、呼吸を整え石休場宿跡あたりの弁天の森を快適に歩く。ブナ原生林の道が続き、聖宝ノ宿跡で休憩。ここから急坂になり、雪が道に張り付きだした。整備された板の階段に雪が残り滑る。ゆっくり呼吸を整え一段一段登る。あと500歩の掛け声に、先が見え出し気分も乗り上を見上げたら、今夜の宿の弥山小屋に到着。とても立派な小屋に驚く。荷物を小屋に預け、八経ヶ岳を目指す。雪道を古今宿の鞍部に下り、苔むした木の株に雪が積もり、立ち枯れした木々の間から見える八経ヶ岳は、行者の山に見える。登り返すと山頂到着。友は今年、絶対に神の山八経ヶ岳は登ると決めていた。登れて本当に良かった。頂上から仏生・孔雀・釈迦・大日・地蔵・涅槃の大峰奥駆道がみえた。誰かがこの奥駆道を歩いてみたいなの声に納得である。帰り木々の間からのブルーの青空、この空の色は忘れられない。
 早朝から待機した仲間が、日の出が素晴しいと声を掛けてくれ、すぐ小屋の外へ出ると月も輝き、空が赤く、山々が染まり素晴しい。刻々と様子が変わり、日の出は国見八方睨みで10分程待つと赤く丸く出た。が、雲が邪魔をして山は燃えなかった。余裕を持って待機して、撮らないといけないと反省した。
 
 大峰の名花といわれるシャクナゲとオオヤマレンゲ、シロヤシオの時期に、また絶対に登りたい気持ちになった。

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