2007年(平成19年)5月1号

No.358

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花ある風景(273)

並木 徹

週刊誌の見出しと新聞の訂正の仕方

  週刊誌の見出しは表紙にしても新聞に掲載される広告にしても売らんがためのもので、かなり誇張されている場合が多い。私にも苦い経験がある。とりわけ人の名誉に関するのは細心の注意を払う必要がある。もちろん名誉毀損を恐れて汚職や権力の不正への追求を怠ってはならない。
 産経新聞にこんな記事が載った(4月25日)。「安倍晋三首相は24日夜、朝日新聞発行の『週刊朝日』(5月4日・11日号)が長崎市長銃撃事件の発生に首相秘書のトラブルが関係していた受け取られる記事を掲載したことについて『まったくのでっちあげで捏造だこんな記事を書いた記者は恥ずかしくないのか。私や私の秘書が犯人や暴力団の組織と関係があれば、首相も衆院議員も辞る考えだ」と批判し、朝日新聞社に強く謝罪を求めた。首相が愕然としたという朝日新聞に載った『週刊朝日』の広告の見出しは『長崎市長射殺事件と安倍首相秘書との「接点」』というものであった。
 『週刊朝日』の本文(22頁と23頁)を見ると見出しは「山口組系水心会と安倍首相の『関係』を警察庁幹部が激白」とあった。新聞広告にある『接点』という表現はない。内容を見ると秘書のトラブルが書き込まれ、右翼から秘書宛に手紙が郵送されてきたことを秘書が他の週刊誌で語っていたとあり、水心会との関係ははっきりしない。本文もその関係や接点の証拠を明示していない。安倍首相が激怒するのも無理はない。
 朝日新聞は4月25日朝刊第二社会面の一段記事で産経新聞と同文の記事を載せ山口一臣・週刊朝日編集長の話「一部広告の見出しに安倍首相が射殺犯と関係があるような不適切な表現がありました。お詫びします」をのせ、謝った。朝日新聞は大きな過ちを犯している。間違いを犯したのは第一義的には「週刊朝日」である。訂正はあくまでも「週刊朝日」誌上ですべきである。広告に見出しが問題になったようである。とすれば編集長が営業上よかれと思ってつけた「見出し」である。問題が起きると、直ちに編集長を前面に出し、責任を問うやり方はいかがなものか。出版局長が出てきて相手方と交渉すべきだと思う。相手方の言い分を好く聞いて具体的な解決策を図るべきである。そうでなければ部下は安心して営業活動が出来ない。
 朝日新聞のこの対応に安倍首相は「大々的に広告を載せておきながら、わかりにくくおわび的な記事出ていた。謝るならはっきりとわかりやすく、おなじように国民に伝えていただかなければならない」と強調したと産経新聞は報じている(4月26日)。当たり前である。新聞での一段のおわびですむ問題ではない。ことの重大性が朝日新聞には判っていない。、無責任で官僚的な雰囲気の朝日新聞はいまなお古い体質を引きずっている。朝日にはこの事態を救う一人の義人もいないのであろうか。

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