2006年(平成18年)5月10日号

No.323

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安全地帯(143)

信濃 太郎

   国のため命ささげし人々の
   ことを思へば胸せまりくる
              昭和天皇御製 (昭和34年)

 陸士53期生が殉国の至誠を現代に伝えるため「萬世に燦たり」−十四軍神を憶う−(展転社)を出版した。昭和15年陸士を卒業した53期生は翌年大東亜戦争勃発、大陸に南海にと、各部隊の戦力の中核となり、国難に挺身した。この間中隊長から大隊長の職責を遂行する。戦死者は665名(戦病死・法務死を含む)を数え、戦没者は同期生1850名の35.9パーセントに当たる。私たち59期生は予科時代の区隊長の主力は53期生であった。本科でも航空士官学校でもそうであった。
 経済同友会は小泉首相の靖国神社参拝に自粛を求め、不戦の誓いをする場所としてふさわしくないとする「今後の日中関係の提言」をまとめた(5月9日)。馬鹿も休み休みに言え。靖国神社には支那事変の戦没者19万1218柱、大東亜戦争の戦没者213万3760柱が祀られている。これらの英霊の上に今日の日本の繁栄があるのだ。それを承知の上での提言か。同友会のみなさんは靖国神社に参拝されたことがあるのか。この本には53期生の中で特別の武勲に輝いた14軍神の事跡が記述されている。軍神たちが戦死した年齢を同友会の方々はご存じか。コレヒドール島攻略の端緒を開いた江浪康彦少佐は23歳、北方防衛の楯となった横崎二郎少佐は25歳、陸軍航空戦闘隊の至宝、尾崎中和中佐は24歳、地上作戦直接協力の雄。金子清市中佐は25歳、南冥偵察行で偉功を立てた菅井清中佐は24歳、陸軍雷撃特攻を敢行した瀬戸軫次中佐は25歳、陸軍航空雷撃隊の鬼神の富永義夫中佐は26歳、長駆、サイパン島の飛行場を爆撃した勇士、斉藤博中佐は25歳、比島戦・特別攻撃隊・菊水隊長、丸山義正中佐は27歳、、海上特攻の先駆者・艇と運命を共にした小串脩中佐は26歳、阪神防空に散華した緒方惇一中佐は26歳、歴戦、沖縄に散った富田薫中佐は25歳、沖縄へ切り込みを図った義烈空挺隊長、奥山道郎大佐は26歳、壮烈敵艦を葬った七生神雷隊長、中島要大佐は25歳。それぞれ若い命を国に捧げた。
 「彼の偉業を知る国民は少ない。世が世なら軍神として、こぞってその武功をたたえているであろうにまことに残念なことである。いささかでも彼の殉国の至誠が国民に伝わり精神作興の資となれば彼の特攻の思いが達成されることになると確信する」と中島大佐をよく知る同期生、片山駿男さんは語っている。
 経済同友会の代表幹事、北城格太郎さんあなたはおいくつになられたのでしょうか。提言に賛成された会員の皆様、そんなにお金儲けをしたいのですか。商売とはお金を儲けることではなくて真の日中友好に尽くす人材を育てることである。
 ともかくこの本を熟読玩味してくださいと願わざるを得ない。

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