2004年(平成16年)9月1日号

No.262

銀座一丁目新聞

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茶説

日歯連裏献金事件の意味するもの


牧念人 悠々

 自民党の派閥の長は大変だと思う。日歯連の1億円献金を不正処理していた旧橋本派にしても衆院50名、参院32名計82名の議員を抱えている。これを維持していくのには金が掛かる。盆暮れの餅代に一人100万円配ったとしても8200万円もいる。選挙前となれば軍資金を手配してやらねばならない。その上、小泉首相が出てきて以来大臣のポストも派閥均衡とはいかなくなった。派閥の長の威力はとみに落ちてきたといわれる。このところ、派閥の長は部下の面倒身が悪くなる一方であった。今回の日歯連の事件は派閥の台所事情をはしなくも垣間見せたといえる。できれば1億円をどのように議員達に配布したのかその全リストを公表して欲しい。かっての田中角栄元首相のように錬金術に巧みな政治家がいなくなった現在、大派閥を運営していくのは無理ではないか。そろそろ、政治家も身の丈のあった政治活動をする時代ではないか。身分不相応なお金は使わないほうがいい。お金に対する考え方が永田町と世間とかけ離れていては政治不信をますばかりである。
 とくに、政府資金の出るところに政治家が介入するのは昔からである。賠償、対外援助、公共事業など汚い噂はたえない。前レバノン特命全権大使天木直人さんがその著書「さらば外務省」に次のようなことを暴露している。
 天木さんが外務省の経済協力局で韓国のソウル地下鉄建設への資金協力がらみの疑惑を調査していたときである。その疑惑は、日本の円借款で韓国政府が購入した地下鉄車両の値段が不当に水増しされ、その差額が韓国から日本の自民党政権にキックバックされたのではないかというのである。警視庁の幹部が局長のところに訪ねてきて話をした。「韓国外換銀行の書類の不備を発見して問いただそうとしたところ、銀行の幹部が『これ以上調査すると自民党政権がつぶれるようなことになるかもしれませんよ』と脅かされた。大臣にもこの話を申し上げた」。局長は天木さんに「後は私に任せてくれ」と、それきりになってしまったという。私が毎日新聞の社会部長のとき「韓国の地下鉄汚職事件」を取り上げたが、取材協力者が『これ以上話をすると私が殺されます』と震えていたのを思い出す。
 政治家の金にまつわる事件は今後も尽きないであろう。これをそのつど厳しく追究していかなければ事件は後を絶たない。この仕事はもちろん政治部の領域であるが、社会部も精力的に取り組んでいかなければならないと思う。

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