2001年(平成13年)6月20日号

No.147

銀座一丁目新聞

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横浜便り(19)

分須 朗子

 「ギリシャ・ローマ神話」(吉田敦彦著)によると、ゼウスが、神々と人間の運命の違いを明確に定めることにした時、すでに、地上には最古の人類の種族が暮らしていたという。当時、不死である神々に対して、人間は死ななければならないという定めを持ち、両者の根本的な区別は一応はあったらしい。しかし、人間の暮らしぶりは神々に極めて近く、不老の上、病気も、苦しみも悲しみも知らなかった。

 プロメテウスの背信に怒ったゼウスが人間に災いを与え、予言する。「人間は、その災いを避けて逃げようとせずに、かえって大喜びでもらい受け、腕に抱いて、愛さずにいられないだろう」・・・こうして、人間は男女の別を知ることになる。泥棒の性質と嘘を内部にたっぷり注ぎ込まれ、外部を着飾った女体=パンドラが、人間=男性への贈り物として差し出された話は有名だ。

 パンドラは、ある日、夫が大切にしている壺の中を見たくて見たくて仕方がなくなる。夫が留守の間に、そっと蓋を開けてしまうのだ。中から飛び出してきたものは、苦しみ、悲しみ、妬み、憎悪・・・かつて人間が知らなかった災いばかり。こうして、人間は、昼も夜もこれらの災いに脅かされて生きていく
運命を背負う。

 慌ててパンドラが蓋をした時、壺の中に残ったものは希望だけ。外から襲いかかってくる災いに苦悩しながら、人間は心の内に希望を持ち、希望に慰められ励まされ、なんとか生き通すことができるというのだ。

 この話を読む度に思う。
 諸悪の根源は女なの?
 愚かなのは男なの?
 どうして、希望も外へ出さなかったの?
 なんでまた、こんなに厭世観いっぱい?



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