2001年(平成13年)1月1日号

No.130

銀座一丁目新聞

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花ある風景(45)

 並木 徹

 スポニチで一緒に仕事をした石井 経夫さんからこのほど「戯れ歌日記」其のニが送られてきた。歌集は400字詰め原稿用紙大の大きさで、掲載されている歌は500首をこえる。歌は発展途上で意欲満々、好感がもてる。語彙も豊富で、きらりと光る表現もあり、将来が楽しみである。ニ首が毎日歌壇に入選している。励みになるだろう。
 俳句をかじっているので短歌には興味がある。好きな歌人は鳥海 昭子さん。


 ばんざいの姿で蛇に銜えられ 春らんまんの蛙いっぴき

 詠めば詠むほど味がある。時代への風刺も感じられる。
もう一人、部矢 敏三さん。


 何も彼も山越えて来るわが村よ たとえば鰯雲もあなたも

 部矢さんは人口600余人の村長だった。自然と人間をこよなく愛する気持ちがにじみ出ている。
 石井さんの歌で目にとまったものを掲げる。


 暮れなずむ磯辺の秋はもの悲し 友探すごと鳶は舞ひおる

 あわてるんのんびり行くんどふなさる 終着見ゆる命じゃろうが

 嫋々と耳に届きしレクイエム 唄える主に逢いたくもあり

私のことを歌っているのが二首ある。


 恩讐はおくびに出さず慰労会 議事進むごと箸を進めり

 労いの片言もなく慰労宴 元は前への義理果たしをり

 昨年の8月2日、有楽町の今半でスポニチの社長の森 浩一さんが相談役になったので、ご苦労さん会を開いた。石井さんも同席した。其の時の模様を詠んだものである。森さんとは昭和51年のロッキード事件の際、共に苦労した仲間である。孤独な社長業を終えたので、慰労したのである。恩讐とか義理などの表現はあたらない。ぎこちなく私なりの友情を示したに過ぎない。第三者からそう見られたのは、私の不徳のいたすところと自戒する
 私も歌を作った事がある。平成10年11月、向井 千秋さんがデイスカバリーの船内から呼びかけた「宙かえり何度もできる無重力』の下の句に応募したのである。


 「遊び心に生きづく宇宙」
 「はしゃぐ千秋に我を重ねる」

 歌にしろ俳句にしろ難しい。その道を極めようとする意志が大切だと思う。楽しみながらゆっくり、作っていこうと覚悟をきめている。

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