2012年(平成24年)4月1日号

No.534

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茶説

原発稼働ゼロをどうとらえるか

 

 牧念人 悠々

 日本の原発は5月上旬までに54基ある原発のすべてが止まる。これで良いのだろうか。本誌は昨年8月1日号『茶説』で原発と原爆問題について論じた。この中で現在31ヶ国が原発を持っているがその国々はかならずしも先進国だけではない。保有は経済的な理由からだけでなく、力の外交の一助にと言う意味合いもあると指摘した。つまり国の安全保障も考慮せよと説いた。

 日本の心ある政治家は平和利用目的の原子力エネルギーに「潜在的核保有」の意図を持っていた。すでに日本は軍事転用可能な再処理済みプルトニュームを45トンも持っている(40トンと言う数字もある)。「自分の国は自分で守るべきである。いざという時にどの国も助けには来てくれない。そのためには抑止力としての核武装すべきである」と説く評論家もいる。

 世界で唯一つ被爆国の日本は核に対してあまりにもアレルギーがありすぎる。中国・北朝鮮の核の脅威に対しても危機感がない。フランスが核を保有した理由を御存じであろうか。アメリカの大統領ジョン・ケネディ(1961年11月から1963年11月・民主党)の時代である。フランスのド・ゴール大統領がケネディ大統領に「アメリカどのような場合にフランス防衛のためにソ連と核戦争をするのか具体的に説明してほしい」と言われて何も答えられなかった。アメリカは西欧の同盟国を守るために数千万人のアメリカ人を犠牲にしてまでソ連と核戦争する気はなかった。そこでフランスもイギリスもアメリカの反対を押し切って最小限度の核抑止力を持った。英仏両国は「核の傘」という神話に乗らなかった(黒野耐著「戦うことを忘れた国家」・角川書店)。北朝鮮は4月上旬、友好国の中国、ロシアの反対を押し切って「衛星」を打ち上げる。成功すれば、その核ミサイルがアメリカ本土に届くかもしれない。そうなればアメリカの核の傘は神話となる。

 だから日本も核武装すべきであると私は主張するつもりはない。「潜在的核保有国」になるべきであると考える。「いつでも作れるが作らない」体制を持つことである。今、日本は反原発の流れに傾いている。感情的でありすぎる。ストレステストを終えた原発も地域住民の反対で稼働が難しい。原発稼働ゼロは好ましい現象ではない。自分の国をどのように守るかを忘れてはなるまい。