2010年(平成23年)4月1日号

No.499

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茶説

福島第1号原発3号機はプルサーマルだ
 

牧念人 悠々

 友人から福島第1原発3号機は「フランス製で危険らしい」と言う話を聞いた。そこで調べてみた。製造した会社は東芝でフランスではなかった。原子炉の形式は沸騰水型軽水炉、出力78.4万キロワット、施工会社は鹿島建設であった。問題は燃料でフランス製であった。プルトニウムとウランの混合燃料(MOX燃料)で、高出力が得られる利点がある。その反面、プルトニウムが飛散すると他の原子炉より危険である。フランスの核燃料工場で作られている。パリ共同電によれば4月上旬MOX燃料を積んだ輸送船が日本向けに出向するという。これまで4回日本へ輸送されていると伝えている(3月26日毎日新聞夕刊)。ウラン燃料の代替えとして3号機に搭載されて昨年10月から営業運転されている。これをプルサーマル利用と言う。事故を起こすと高レベルの放射性廃棄物を出す恐れがある。だから「3号機はフランス製で危険らしい」と言うことになったようだ。3号機が事故の場合、高いレベルの放射性廃棄物を出すと認識しておくべきである。さらに日本では5電力会社でMOX燃料を使う計画があるのを知っておくべきであろう。

 そこへ問題の福島第1原発3号機で作業員3人の被ばく事故が起きた。作業員2人の足を汚染した高濃度の放射能の水は「原子炉側から出てきた可能性が高い」という。今のところ3号機から放射性廃棄物が外部に漏れた形跡はみられないと専門家は語っている。3号機だけでなく1号機はすでに核燃料の3分の2以上溶融の可能性が推測されている。4号機は爆発・火災が起こり高濃度の放射能が拡散したと伝えられている。福島第1原発から北西約30キロの地点で、24時間の累積放射線量が最大約1・4ミリシーベルトと測定された(3月25日)。この数値は人工被爆年間限度1ミリシーベルトを越える放射線を一日で受ける計算である。屋内退避の住民たちに政府が「自主的避難勧告」を出した理由である。福島第一原発の敷地内の土壌からプルトニウムを検出、燃料棒の損傷が明らかになった。3号機からとなると軽視できない.それにしても政府のやることは後手、後手である。住民がとまどい、怒るのは当然である。常に最悪の事態を考えて対策を立てない政府の無策ぶりがはっきりしてきた。

 友人の広瀬秀雄君から米国カルフォニアに住む元大学教授のデイビッド・ルーさんのメールが送られてきた。その内容は郵便局に行くと、三沢に派遣されたことのある郵便局員が最敬礼をして「三沢で地震にあったことがある。今回の大震災にお見舞い申し上げます。日本の方に伝えて下さい」と言うことであった。その列に並んでいた人々もかも同じ言葉が聞かれたという。さらに1979年3月に起きたスリーマイル原発事故に触れてふれている。デイビッドさんはここに2度訪れている。スリーマイルに住む人々は放射線のことは意に介せず、マスコミの大騒ぎに不満であった。ある中小企業主が「経済復興を阻害しているのはマスコミだ」と言ったのをよく記憶している。資金が集まらない、客足が鈍くなるのはマスコミのおかげで、事故で命を落としたのは一人もいなかったし、健康に異常もなかった。日本の電子版を見ると沈静に対応している。日本人の規律正しい行動は世界の賞賛の的になっている。日本の復興を信じているとあった。