2010年(平成22年)8月20日号

No.477

銀座一丁目新聞

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安全地帯(294)

信濃 太郎

森林囃子(もくもくばやし)の温泉に遊ぶ
 

今年の猛暑は体にこたえた。部屋では冷房をかけないのをついに禁を破った。85歳になればやむを得ないか。8月8日から1週間、長野県戸隠の丸太小屋に出かけた。標高1000メートルぐらいあるので長野市内が30度でも10度も気温が低い。夜の睡眠は汗もかかずに快適である。ここでの楽しみは丸太小屋から車で10分ぐらいのところにある市営の温泉「森林囃子」(もくもくばやし)である(長野市戸隠祖山31−1)。国道406号からほど近い裾花川の渓流沿いにあるひなびた感じの木造の温泉である。入場料は400円。浴室は広くないが20人ぐらいは入れる。いつもお客は多くはない。のんびり出来る。「効能豊か」とあるところを見ると、万病に効くのであろう。係員は男性で長野県人らしく無愛想である。その方がかえあって気が楽である。連日のように出かけた。東京ナンバーの車も入り口で見かけた。聞けば、戸隠のキャンプ場に泊まってここへくるという。トレニングルームでは足の裏のマッサージもできるし腹筋運動も出来る。子供たちがいつも楽しげに器具を操っている。運度器具は11台もある。休み期間中、持参した3冊の本のうち2冊しか読めなかった。

 帰宅してみると、友人の安藤重善君と夫人・照子さんから残暑見舞いのはがきが来ていた。それに二人の俳句があった。「夏祭り緑の広がる屋台かな 重善」「夕涼や待ちこがれたる風に逢ひ 照子」。二句とも味わいがある。私は夫人の句が気に入った。このごろ当方の動作が緩慢で17日になったやっと返事を出した。7月末に出した同期生遺稿句集「旅のあかしに」を添えた。パソコンのメールに神奈川県の主婦から銀座俳句道場の第78回に掲載された今尾方江さんの句「あとひとつもうあとひとつ流れ星」を10月に開かれる書道展に作品として出品したいので許可してほしいとの依頼が舞い込んでいた。早速OKのメールを送った。銀座俳句道場は今年3月で幕を閉じたが俳句の縁はなお続いているようである。嬉しいことである。