2008年(平成20年)7月1日号

No.400

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山と私

(45)
国分 リン

−可憐なハクサンコザクラが一面に咲く「仙ノ倉山」

 ポニチ登山学校の「新緑と高山植物の咲く、上越国境の山旅」に誘われて6月14日〜15日 目標の吾妻耶山(1341m)、平標山(1984m)、仙ノ倉山(2026m)を目指す。折からの梅雨の中お天気が心配だったが、予報は晴れマークである。

 わがエーデルワイスクラブの坂倉登紀子氏(97歳)編「女性のための百名山」の63吾妻耶山に期待で胸が膨らむ。バスで大峰山キャンプ場へ着く間に「この辺は山ヒルがいます。対策は無く、食われたら塩をかけることです。」の尾形先生の声に女性陣からウワーと、声がでた。この青空の下なら食われないだろうと、気を取り直し出発。誰もいないキャンプ場、でも春ゼミがシャーシャーと声の饗宴、直ぐ大峰湖へ、浮島があり我々だけの静寂の湖をまわりこみ大沼超へ(この辺の雪解け時にはカタクリの群生地)。キレット・落ち込んだ谷に立派な鉄製の長いハシゴが現れ一旦降りてまた長いハシゴで上り返すと電波塔があり、少し歩くと大峰山々頂手前の展望台があり休憩。汗が頭から顔から噴出し、水分を充分補給した。5分も歩かないで大峰山頂(1254.8m)に着くが展望も無く標識が無ければ通り過ぎてしまう。30分程で赤谷越峠の分岐、そこから99折れの急坂を上りきると吾妻耶山頂(1341m)到着11時40分。山頂には、立派な三基の祠があり今も大切に祀られている。この山の上で、大きな一枚岩をこつこつとノミで台座や屋根を創り、祠を彫り上げ、魂を入れた修行僧の解説もある。昔の人の偉大さを知る。展望もよく谷川岳連峰と仙ノ倉山、上州武尊山や水上温泉郷が見えた。ゆっくり眺望と昼食を楽しむ。1時過ぎに仏岩コースを降りる。
仏岩トンネル手前登山口に到着。山ヒルがやはりいた。私の後ろを歩いていたKさんが片方の靴下から足に痕跡があり一匹落ちた。存在を教えたかなと思う。
 バスに乗り込み猿ヶ京温泉からの道を興味深く見ながら、苗場スキー場を過ぎ今夜の宿二居川民宿・福田屋へ到着。

 4時起床、晴れ、5時に準備をして玄関に出ると宿の車で平元新道の登山口まで送ってくださるとのこと。昨夜尾形先生とご主人の話し合いの結果である。
歩いたら1時間の道程を、途中歩いている人にすみませんと頭を下げながらの出発である。広葉樹林帯の雑木林をジグザグとひたすら登る。木の階段がひたすら続く。荷物は軽いが調子がでず、グループから遅れ、自分のペースであえぎ登る。小屋の屋根が見えホッとすると平標山ノ家(1656m)へ到着。立派に建替えられている。団体さんはお断り、木の階段も山を守るためのものとはっきり言い切り、山のことを真に考えるご主人だと本に書いてあった。ここからは仙ノ倉山がよく見え、天上の楽園の様子である、展望の稜線歩き、ここも木の階段が続く。やはり息苦しく最後に尾形先生に見守られて歩く。アズマシャクナゲが次々咲き出して、見事な花を付けている。平標山手前では5歩登ると立ち止まりの状態に吉田先生が戻ってきて荷物を持ってくださる。嬉しい反面自分が情けない気分である。平標山(1984m)到着。360度大展望に満足、苗場山の平で広い山頂部や、仙ノ倉山から谷川本峰への主稜線や越後三山までも見える。友から元気を出すようにとトマトやグレープフルーツ等ご馳走になり、いつものことながらカメラードに感謝である。ここからは高山植物の花咲く道、階段と岩で山へ踏み込まないように、自然第一の道が続く。生き生きと小さくかれんなハクサンイチゲ、そのなかに赤紫のハクサンコザクラが風に揺れている。身丈3aほどの花が一面に色をつけ一生懸命に咲いている。こんなにかわいいハクサンコザクラの群落は始めてである。形のよい峰桜の株がちょうど満開を向え、あちこちに咲いている。上手に刈り込まれて植木職人が仕事をしたようである。それにまた見事なシャクナゲの花たちである。元気を貰い仙ノ倉山(2026m)へ到着。谷川連峰の最高峰、1等三角点に挨拶し大展望に満足して往路の花畑を平標山へ戻る。「この脊梁山脈は一日中晴れていることは珍しい。午後は必ずにわか雨に襲われるのですが、今日は大丈夫ですね。何度も雪やガスの中は歩いているのですが、この景色は簡単に見られませんから、良く覚えていてください。」と尾形先生が話された。11時に下山開始、松手山コースを正面に苗場山などを見ながら尾根道をひたすら下る。ここにもシャクナゲの群落があり、また大勢の登山者が登ってくる。道を譲りながら、この登りは大変だなと私は駄目かもなどと思う。イワカガミも種々、色の濃さも競い合いながら咲いている。松手山で休憩。振り返ると厳しい登山道が見え、下山でよかったな、と独り言。またひたすら下り風通しのよい鉄塔で前のグループが休憩、私達も休憩した。もう少しと言い聞かせて立ち上がり降りだすと駐車場が見え、安心したが遠く感じたのは疲れた為と、反省した。最後に山つつじがオレンジの花のトンネルを作り、私達のこの山旅を飾って終わった。

 苦しい登りの連続、何故こんなに体力が落ちたのか反省しきりだが、別の意味で、高山植物が素晴しく、カメラードの暖かさ、先生達の思いやりに忘れられない山になった。

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