2006年(平成18年)3月20日号

No.318

銀座一丁目新聞

上へ
茶説
追悼録
花ある風景
競馬徒然草
安全地帯
自省抄
北海道物語
お耳を拝借
いこいの広場
ファッションプラザ
山と私
銀座展望台(BLOG)
GINZA点描
銀座俳句道場
広告ニュース
バックナンバー

競馬徒然草(75)

―遅れてきた馬― 

 3月12日に行なわれたフィリーズレビュー(GU、阪神1400)は、桜花賞への優先出走権(3着まで)を獲得する最後のレースとして注目された。勝ったのは関東のダイワパッション(増沢厩舎)。このところ西高東低の傾向が続く中で、久々の関東馬の快勝だった。勝ちチタイム1分23秒1(上がり36秒0)。決して速いタイムとはいえないが、やや重の馬場を考えると、止むを得ない。それはともかく、中団から鋭く伸びて差し切った脚は見事なものだった。
 関東馬の優勝は89年のコクサイリーベ以来の17年ぶり。このレースの優勝によって、晴れて桜花賞への優先出走権を獲得したわけだが、これほどまでに成長するとは予想しなかった人が多いのではあるまいか。ダイワパッションのデビュー以来を振り返ってみる。デビューは昨年7月30日の新馬戦(2回新潟)で着外。2戦目の未勝利戦も着外。3戦目に辛うじて3着。やっと4戦目(11月12日、3回福島)に初勝利。決して将来性が期待されるほどの馬ではなかった。
 それが次の5戦目に黒松賞(500万円下)に挑戦、鮮やかに勝ってしまった。未勝利戦を勝ったばかりの馬が、特別レースまで勝って2連勝。決してフロックとはいえない勝ち方だった。しかも桜花賞への優先出走権まで勝ち取った。無名だった時期を考えると、まさに「遅れてきた馬」である。それがいきなりクローズアップされることになった。このような「遅れてきた馬」の登場例は珍しい。
 本番の桜花賞で、関西勢に一泡食わせることにでもなれば、物語に新たな1ページを書き加えることになる。「遅れてきた馬」の活躍に期待したい。

( 新倉 弘人)

このページについてのお問い合わせは次の宛先までお願いします。(そのさい発行日記述をお忘れなく)
www@hb-arts.co.jp