2004年(平成16年)11月20日号

No.270

銀座一丁目新聞

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茶説

紀宮様の婚約内定おめでとうございます

牧念人 悠々

 11月14日の日曜日、昼間のテレビのニュースで紀宮様の婚約を知った。瞬間、朝日新聞の特種だと思った。朝日新聞は皇室ネタに強いと聞いていたからである。新聞は夕刊がないので、丸一日抜かれっ放しになった。朝日新聞以外の宮内庁記者はデスクから怒鳴られ、走り回ったことであろう。朝日新聞には宮内庁、皇室関係者と強い人脈があるようだ。40年近くも皇室を担当している編集委員がいるという。しかしそれは抜かれた理由にならない。取材を怠ったからぬかれたのである。記者クラブでの発表を頼りにしていては新聞記者とはいえない。35歳になられる紀宮様のご結婚は予想された取材対象であった。紀宮様の周辺に目を配っていたら変化がつかめたはずである。
毎日新聞にも富樫準二という皇室担当の名物記者がいた。23歳の大正9年から88歳(昭和60年)で死ぬまで皇室記者であった。今の陛下のお后探しの取材では筆者も取材班の一員として苦労したが、富樫記者は節目節目でちゃんと答えを持ってきていただいた。実に得がたい人であった。その富樫さんが「天皇とともに50年」の中で『戦前の宮内省ときたら、秘密によって「皇室の尊厳」がまもられているといった保守的な考えであった。そして「発表以外は書いてもらいたくない」という方針だった』と書いている。今とそう変わらないような気がする。新聞記者が掴んだ特種を一ヶ月後に正式発表するから待ってくれといってもいうことを聞く新聞記者はまずいないであろう。
新潟の被災者達が苦しんでいる時に皇室の慶事を発表するのは差し控えたいという両陛下のお心配りと紀宮様とお相手の黒田慶樹さんの気持ちは良く理解できるが、ご婚約内定がもれて逆に皇室がそのようなお気持ちであったのかと新潟の人たちにわかって余計に感激させている意外な効果も出ているように思う。正式発表はできるだけ早いほうが良い。

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