1999年(平成11年)2月1日

No.64

銀座一丁目新聞

ホーム
茶説
映画紹介
個人美術館の旅
ニューヨーク便り
ゴン太の日記帳
海上の森
バックナンバー
告知板

茶説

川柳「老人は死んで下さい国のため」に思う

牧念人 悠々

 何気なく新聞(124日付朝日)をみていたら、ショックな川柳がとびこんできた。

 「老人は/死んで下さい/国のため」

 読んでみると、高齢化社会では若ものの負担が増えて、大変なことになる。「生きてて悪いか」という老人の反応のようである。

 70代の人の作だそうだが、風刺とはいえ、こんなに卑下する必要は全くない。

 73歳の筆者は、あと50年生きる積りである。だから、老人とは思っていない。老いは理想を失った時にくる。生涯ジャーナリストとして生きたい。その志を失いたくないと念じている。

 「銀座一丁目新聞」で茶説を執筆、すぐれたジャーナリストを育てるためマスコミ塾を開いているのも、このためである。

 朝おきると、冷水摩擦(50余年つづけている)、柔軟体操、木刀の素振りをするほか、11万歩以上歩く。おかげでこれまで大病をしたことはない。

 生活のモットーは3つ。1、人と接するに温顔をもってする。2、事を処するに自然流をもってする。3、日ごろ、何事に付け悠々たる態度を保つ。

 若干説明をする。昔から瞬間湯沸かし器といわれたほど怒りっぽいので、常に笑顔を見せる。怒りからは憎しみしか生まれない。また怒れば顔のシワも増える。

 物事を処理するのに無理をしないのが何よりも肝要。耐えるところは耐える。自然流とは万事に消極的であると言うのではなく、時には嵐のごとく、時には疾風のごとく動くこともある。また、折にふれて、月をめで花を愛する余裕を持つのである。

 ともかく、こせこせせず、天地がゆっくりめぐるように悠々と構えたいと思っている。

 趣味は俳句。新年の句では武原はんさんの「新玉の/扇一つを/命とも」がいい。地唄舞いで至芸を披露していた武原はんさんが、いまやこの世にいないのが、なんとしても悲しい。

 この正月、長野の戸隠村の丸太小屋ですごした。その時の句。

 「元旦や/古きハウスに/薪火燃ゆ」

 心の中で目標へ熱き火をもやす。@歩道の自転車 A携帯電話 B政財官のリーダー C車内の座席 Dテレビの低俗番組 E言葉の乱れ F低金利政策 G犬と飼い主 H病院の待ち時間(高齢者の腹の立つ順位、124日付朝日より)に対しては、温顔で接し、自然で処理し、悠々としていきたいものである。

 

このページについてのお問い合わせは次の宛先までお願いします。
www@hb-arts.co.jp