5歳になる長男がお喋りで恥ずかしいと娘がこぼしている。なんでも、かんでも思ったことをすぐ口にするので赤面することもしばしばとか。そう、クレヨンしんちゃんにどこか似ている。
名前を「優也」と書いて「まさや」と読ませるが、ふり仮名でもしないかぎり、なかなか正しく読んでもらえない。病院などで看護婦さんに何回も「ゆうやくん」で通されていて、やっとのこと「まさやくん」と呼んで貰えたら、即座に「やっと言えるようになったじゃないか」と大きな声で言ったとか。
保育園に通っているが、家でのことは翌日には先生の耳に達している。ある時、持ち帰った連絡帳にこんなことが書かれていた。
「チンチロリン、というのはどんなゲームですか? 楽しそうに話してくれました、こんど私にも教えてください」
あれには本当に参ったわ、と娘。
ゲーム好きの一家である。麻雀を子供向けにしたドンジャラとか、人生ゲームとか、トランプとか、上の中学生の娘も交えて一家4人で何かしらに興じている。とうとうチンチロリンにまで手を染めたらしい。無欲の勝利か5歳のチビが、ゾロ目とか、456とかの目をよく出すらしい。けれどあれはあんまり堅気(かたぎ)の家ではやらないのでは? 最近では中学生に麻雀を仕込んでいる。
「ちょっと待って・・・、あらっ? リーチ!」
と、これまた、なかなかに強い。祖父も父親も将棋指しでは血のなせる技だろうか。
この孫もつい最近まで、よく喋っていた。電車の中でママに
「ひと駅でいいから黙っていられない?」
と言われて、しばらくおとなしくしていたが、2分もしない内にハアーと大きく息をついて
「ああ、苦しい。そんなに息を止めていられない」
かくゆう娘のお喋りにも定評があり、友人などは
「娘さん面白いわね、一緒にいて飽きないわ」
とまで言う。初対面の人だろうが、年が離れていようが関係なし。誰とでもすぐ打ち解けて仲良しになる。学生の頃、射撃部のマネージャーをしていて、殆どが男子部員のよき相談相手であったらしい。
その親である私は、どちらかというと子供のころから引っ込み思案で、初めての人に馴染むのに時間がかかった。“三つ子の魂百まで”のとおり未だに時間を要する。夫は話が上手で話し好きであったから、そちらの家系似なのだろう。
優也の父親も子供の頃、末は弁護士か、と言われるほどの口達者だったと聞くからやはり血は争えない。
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