2000年(平成12年)7月10日号

No.113

銀座一丁目新聞

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花ある風景(28)

並木 徹

 劇団「ふるさときゃらばん」(東京・小金井市)がミュージカルそのもを題材にして映画をつくろうとしている。ミュージカルができあがるまでをドラマにしたいらしい。中心テーマを何にするかで悩んでいる。「結婚」はどうか演出・脚本の石塚 克彦さんは考えている。
 1987年に公演した「ザ結婚」が頭にあるらしい。このころ、農村を回って取材したところ、農村の結婚式は派手であった。何故派手だったかというと結婚式はおやじさんにとって一生のうちの一度の晴れ舞台であった。息子の結婚式の費用をつくるため汗水たらして懸命に働き、貯金した。人間は本来目立ちがり屋なのである。目立つことは生きている証しである。「貧しく、清く、美しく」なんていうのはウソである。
 ところで、いまは結婚式も様変わりした。仲人はたてず、新郎、新婦の友人たちが挨拶に立ち、歌をやり、バンドを演奏、二人の前途を祝すという簡単なものが少なくない。
 女性の好みも変わった。「マリンスポーツをやり、話術が巧みで退屈させない男がいい」という。
 いずれにしても、この企画は製作部員があちこちに飛び回り、多くの人々から取材した上で、会議にかけられる。何度も討議して決まる。
 面白いものが出来上がると信じている。費用は10億円、ふるさときゃらばんの主要なスポンサーをはじめ応援団から一口5万円の出資金などでまかなう。
 不可能を可能にしてしまう劇団だからあまり心配していない。
 映画の配給はどうしようなどとつまらないことを考えず、ミユージカルと同じく自主公演すればよい。カンヌの映画祭でグランプリでもとれば大手の配給会社がうちで上映させてくれといってくる。
 「天は自らたすくるものをたくす」というではないか。

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