平岩さんがアフリカと縁ができたのは28年前にさかのぼる。英国航空が日本がアフリカのナイロビまでの直行便を開通した際,招待されケニア(首都ナイロビ・面積58万平方キロ人口2881万人)タンザニア(首都ダルエスサラーム・面積88.4万平方キロ人口3127万人)を訪れたのがきっかけである。
大自然とともに生きるマサイ族に平岩さんは感動する。電気、ガス、水道はない。暗くなったら寝る。明るくなったら起きる。水は川にくみに行く。火は古代からの道具と両手で摩擦で発火させる。物々交換で助け合う。生活信条はスワヒリ語の「ポレポレ」。なんでもゆっくりやろうという。
長女の雅代さんを17歳の時からアフリカに連れていくうち、写真と文章で感動を伝える仕事をしようと、英語、フランス語、イタリア語、スワヒリ語を覚え、父と行動をともにするようになる。
マサイ村には「ヒライワスクール」がすでに3棟たつ。木に黒板を下げて地べたに腰を下ろして勉強している子供たちが,季節はずれの雨で逃げる姿をみて学校建設を思い立ったものである。資金はこれまで出版した動物写真集の収益金を当てた。平岩さんは人生観を変えてくれたマサイの人たちへの恩返しのつもりだというが、なかなかできることではない。このほかゾウ、サイの密猟防止のための双眼鏡寄付も361台に達している。
平岩父娘の行動はとどまることを知らない。二人三脚ではじめた『平岩アフリカツアー」(毎年2・3・8・9月)も9月には64回を数える。まさにアフリカ親善大使父娘である。4月5日スポニチの文化芸術大賞贈賞式に出席した平岩さんはアゴの白いヒゲをますます白くされいたく元気であった。