2013年(平成25年)7月10日号

No.579

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花ある風景(497)

 

並木 徹

 

 「ダンブッコ」の演奏を聴く
 

 国際的ヴァリニスト黒沼ゆり子さん(メキシコ在住)が「必聴・必見」というので「ダンブッコ・パーカッション・アンサンプル」に出かけた(7月3日・東京・千駄ヶ谷・津田ホール)。

 出演者はリカルド・ガヤルド(芸術監督)、アルフレッド・プリンガス、ミゲル・ゴンザレス、ラウル・トゥドン。何故『必見』か、第2部の演奏を聴いて理解できた。レオポルド・ノヴォア作曲「わかったかな」。グァチャラカスという楽器をヴァオリンのように構えて演奏する。その楽器は木の表面に入った刻みに棒を擦って音を出す。みんなの音がよく揃うものだと思う。4人が組んで20年。まさに至芸である。ついでティエリー・ドゥ・メイの「テープルの音楽」に至っては音楽の魔術師である。満員の会場から拍手は鳴りやまなかった。

 テーブルが楽器である。手のひら、手の甲、指先、空手チョップでテーブルをたたく。3人の手によるテープル演奏は見ていたて飽きない。手の形が一定の変化とリズムで動き、絶妙な音を出す.まさに『必見』であった。
第1部は4人の日本人作曲家による作品を「ダンブッコ」が演奏した。池田拓実、木下正道,樅山智子、渡辺俊哉が作品演奏ごとに壇上に上がり顔見世する。いずれも若い。日本の音楽のすそ野も広いと感じる。樅山さんの「MOONS OF HIDDENN TIMES」に童謡「雨降りお月さん」を思う。大太鼓の音を聞くとその雨は日本の雨と違って豪雨だ。4人が来し方来し方を振り返りながらそれぞれに月の光を求めてゆく曲想と感じた。

 それにしても「ダンビッコ」に驚嘆する。神話の世界の音はどんなであったのだろうか。天照大御神が天の岩戸に隠れた際。岩戸の前で舞うコノハナノサク姫命にまわりから掛け声、手拍子のほか木の音、石の音があったのだろうと、想像する。原始の楽器は木、石、貝殻、水などであったであろう。それを「ダンビッコ」は現代に蘇らせたといえる。もちろん当時よりは洗練された芸術的音として表現したのだ。“ビバー・メヒコ”と絶叫したい。