2008年(平成20年)4月1日号

No.391

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花ある風景(306)

並木 徹

「「千の風」を力となさん春舞台(小林春子)」

 文化放送劇団「ふるさときゃらばん」主催ミュージカル体験塾・第9回定期公演「瓶ヶ森の河童」ーやって来た酔っ払い医者編ーをみる(3月23日。東京・千駄ヶ谷・日本青年館ホール)。ミュージカル体験塾も来年は10年目を迎え、塾生も10期を数える。1年間のレッスンで卒業時にミュージカル公演までするという欲張りな体験塾を9年間も飽きもせず続けたものだと感心する。
 出し物はふるさときゃらばんお得意の「瓶ヶ森の河童」と風神村を舞台に、葉っぱで村おこしをし、河童と村人が森を大切にして共存してゆく”環境もの”である。
 出演者は小学4年生から70代までの68人。裏方をふるさときゃらばんの劇団員が全員で支える。小学生は3人いる。のぶ太役の田所暢満君は2年目だけに落ち着いていた。やはり経験と舞台度胸がつく。漁師(伊藤愼吾さん)は「4年目の舞台。レベルアップしとるじゃろうか?」と心配していたが、様になっていた。5年ぶり出場の大津正大さん、「よかったですよ」。塾生は多彩である。精神科医、辻内優子さんは舞台では患者。”河童のくすり”で元気になる。酔っ払いの医者・柄本(ビッグ錠)その妻(巴信子)は1期生からの塾生だけに「地そのままに」堂に入ったもの。村長役の小林清三郎さんと共に卒業公演になくてはならない存在になった。
 高校生1人というのは淋しい。受験勉強より塾長・天城美枝、策・演出・石塚克彦、作曲・寺本建雄を始め塾生達との「ミュージカルの輪」の中で学ぶことの方がより有益である。今の親たちはとんとこのことが分かっていない。
 葉っぱを東京の料亭に出すアイデアは柄本の妻が言い出したもの。村の人口2500人の内4割が65歳以上の年寄りだというこの風神村はこれで活気づく。年寄りも元気になるし、自分でお小遣いも稼ぎ出すようになる。役所の職員2役の北沢新一さんは詠む。

  「夢うつつ トンネルぬけて 葉っぱうる」

 主婦は7人いる(プログラムではほかに主婦らし人も見受けられる)。葉っぱ農家・岡村つる役の加藤鏡子さんは「美しく?若々しい毎日のため体験塾は最高!」恵子役の青木恵子さんも「新しい事への挑戦!ホップステップジャンプ」。いくつになっても挑戦するのは若さを保つ秘訣である。
  「体験塾 踊り歌って 春が来る」(悠々)
 会社員は16人もいる。「60歳過ぎて一世一代の晴れ舞台。感激!」(沢田孝子さん)「目標は歌って踊れる日本語教師!」(松井理恵さん)ミュージカルは演ずる人に感動と夢を与える。
 小林幸っちゃん役の小林和子さんが歌う。

  「千の風」を力となさん春舞台

この日初めて和服姿の天城美枝さんを見た。いつも感じることだが天城さんは幕が上がる前は巣立つひな鳥を見るように落ち着かない。

  「母親の和服に映えて子ら巣立つ」(悠々)

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