2006年(平成18年)11月20日号

No.342

銀座一丁目新聞

上へ
茶説
追悼録
花ある風景
競馬徒然草
安全地帯
自省抄
銀座の桜
いこいの広場
ファッションプラザ
山と私
銀座展望台(BLOG)
GINZA点描
銀座俳句道場
広告ニュース
バックナンバー

安全地帯(162)

信濃 太郎

拉致映画「めぐみ」を見よ

 クリス・シェリンダ、パティ・キム両監督のドキュメンタリー映画「めぐみ」―引き裂かれた家族の30年ーが25日から全国で公開される。監督夫妻が拉致を知ったのは2002年9月小泉純一郎首相が訪朝した時であった。拉致被害者の中に13歳の横田めぐみさんがいたことは二人に衝撃を与えた。その衝撃が映画製作の動機である。この映画は人間ドラマである。横田夫妻のめぐみさんへ寄せる愛情と30年にわたる苦闘を描く。同時に拉致はどんなものであるかを肌で教えてくれる。拉致被害者は17名を数える。横田夫妻は真実を追及してやまない監督夫妻の姿に全面的に協力、インタビューは15回以上となる。影像は自然で横田夫妻がケンカするシーンも出てくる。テレビでみる横田夫妻のイメージは仲のよいご夫婦で奥さんの言うことを何んでも聞くご主人のように見えたが、私たちと変わらないので安心した。月刊「文芸春秋」12月号に早紀江さんが「口紅をつける場面」を躊躇したとある。早紀江さんになんともいえない奥ゆかしさを感じた。いまどきの若い女性に早紀江さんの爪の垢でもせんじて飲ませたい。電車の中で化粧をする女性を見かけるのは日常茶飯事である。人前で化粧するのが外国では「売春婦」のやることである。また欠伸の際、口に手を当てる女性も殆どいない。人前で平気で大きな口をあける。恥じらいを忘れ、親から「しつけ」を教えられない女性のなんと多いことか。
 シェリンダ監督は早紀江さんが「めぐみを失った喪失感を怒りのようなマイナスの感情に変えるのではなく、前向きなものに転化していこうと考えた」という言葉に感銘を受けたといっている(前掲「文芸春秋」12月号より)この気持ちが拉致問題を今日のような状況に持ってきたといえる。めぐみさんが拉致されたのは昭和52年11月15日である。それから29年、やっと国際世論も動いてきた。
 「文芸春秋」12月号が取り上げた監督夫妻と横田夫妻の座談会『映画「めぐみ」よ、奇跡を起せ』を感銘深く読んだ。何故新聞は拉致問題を扱ったこの映画を取り上げないのか。ここに今の新聞の問題意識の喪失と企画力の貧困を強く感じる。さらに言えばNHKの短波ラジオ国際放送の態度である。「放送命令」を「報道の自由の侵害」といきまく前にやるべき仕事がある。「拉致問題」はいくらでも企画は立つ。「放送命令」は当面やるべき仕事をやれといっているに過ぎない。その料理の仕方は編集者・デレクターに任かさている。『文芸春秋』を超える企画を立てたらどうか。

このページについてのお問い合わせは次の宛先までお願いします。(そのさい発行日記述をお忘れなく)
www@hb-arts.co.jp