2006年(平成18年)11月1日号

No.340

銀座一丁目新聞

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花ある風景(254)

並木 徹

「海上自衛隊の観艦式を見る」

 海上自衛隊の観艦式を初めて見た(10月29日)。旗艦・護衛艦「たちかぜ」以下受閲艦艇部隊は8群に編成され、護衛艦10隻。潜水艦4隻、掃海母艦、掃海艦3隻、輸送艦・LCAC2隻、ミサイル艇3隻、巡視船1隻、展示艦艇部隊3隻など合計26隻(参加人員8000人)。威風堂々、王者の風格があった。1991年4月26日ベルシャ湾に落合o1等海佐指揮の掃海艇6隻が派遣されて以来、海上自衛隊の練度と規律の優秀さは諸外国に知られている。
 観閲部隊は先導艦・護衛艦「いかづち」を先頭に安倍晋三首相が乗艦した観閲艦・護衛艦「くらま」以下随伴艦・護衛艦「ちょうかい」(イージス艦)等5隻、観閲付属部隊合計7隻。あいにくこの日は朝から曇り空。だか、風も吹かず、波は穏やかであった。相模湾上から冨士が遠望できなかったのが残念であった。
 元防衛施設庁長官、塩田章さんの紹介で塩田さんとともに氣のあった友人4人と護衛艦「ひえい」(5050トン)に乗艦(見学者680人)した。見学者の中に制服姿の中国軍人が目につく。女性の軍人もいた。自衛隊は中国との間に日中相互訪問協定を結んでおり、それにもとずく来日という。私たちの案内役の三等海尉殿は懇切丁寧であった。艦内を案内される。「ひえい」は昭和49年11月に就役、すでに艦歴は32年。あと7年は任務に就く。主要武器は54口径5インチ単装速射砲2基、機関砲2基、アスロックランチャー1基、シースパローミサイル1基、3連装短魚雷発射管2基、ヘリコプター3機。乗組員300人。艦内では女子隊員を少なからず見かけたが、「ひえい」には一人も勤務してらず、応援だという。
 2等海佐殿との立ち話。「昨今は隊員募集に苦労しております。訓練も月曜から金曜日までとし、土、日は休みとしております。海の男の良さと海の美しさを強調しておりますが・・・」。かっての「月月火水木金金」などは夢の夢である。新聞社も同じである。「つらい。時間がない」職場が嫌われる。特に事件記者志望が少なくなった。
 相模湾上の観艦式は護衛艦の祝砲で始まる。対潜ロケット弾発射、潜水艦の潜航・浮上、ヘリコプター発艦、IRフレアー発射、ミサイル艇のジクザク航法などの演習に見學者は固唾をのみ、あるいは写真を撮るに忙しかった。
 観閲式後安倍首相は訓辞の中で近く防衛庁の省に昇格する話に触れ、今後体制を整え、国際平和活動などを自衛隊本来の活動とすると語った。式後「ひえい」で呉音楽隊の演奏を楽しむ。余興の木琴楽器当てに「ファゴット」が出た。10月13日東京・晴海の第一生命ホールで開かれた国際音楽祭「ヤングプラハ・イン・東京」でチェッコの有望な新人演奏家、ヴァツラフ・ヴォナーシェックのファゴット演奏を聞いたのを思い出した。横須賀港桟橋に到着後、見学者たちは総監部の入り口まで堵列した海上自衛隊員の熱烈な見送りを受けながら帰途につく。聞こえてきたのは「蛍の光」であった。

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